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マウスピース型矯正治療の難易度判定

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

インビザラインの難易度判定

近年、マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外※】のみを取り扱う矯正歯科医院も増えて来ました。しかし、全てのケースをマウスピース型矯正装置のみで、ワイヤー型矯正装置と同じレベルで治せるかと言われると、そうではありません。マウスピース型矯正装置には適応症があるからです。
当院ではマウスピース型矯正治療の難易度は主に4段階に分けられると説明しています。今回は初診相談で私達が説明しているこの分類について説明していきます。

※マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置は完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。


難易度を判断する3つのポイント

マウスピース型矯正装置【インビザライン】はその性質から大きく3つのポイントが治療の難易度と関係しているという結論に行きつきました。

インビザラインの難易度判断
<マウスピース型矯正装置の適応症>

顔の長さ

矯正治療ではレントゲン分析から、顔の縦の長さを3つのタイプに分けます。簡単に説明すると、「面長」「標準」「横広」になります。このうちマウスピース型矯正装置に向いているタイプは「面長」のお顔です。

「面長」タイプは、アゴ骨の骨密度も低く歯の動きは比較的良いです。また、前歯が前開きになっていたり、開咬になっている事も多く、傾斜移動(歯の倒し込み移動)が得意なマウスピース型矯正装置の治療に向いている傾向があります。

奥歯の高さ

マウスピース型矯正治療は歯を上からマウスピースで覆い、しっかりつかむ事で移動させて行く治療です。この歯をつかむ力である把持力を高めるためには、アタッチメントと呼ばれる突起をつけ歯の表面積を増やす事をします。当然ながら、もともと歯の表面積が広い方が有利になります。特に前歯を動かすための固定源になる奥歯の高さが大事になります。

奥歯の移動量

マウスピース型矯正装置は前歯と比べて歯根の体積が大きい奥歯を移動させる事は得意でありません。全く動かせないわけではないのですが、2mm以上の歯の移動になると倒れ込みが発生しやすくなりコントロールが難しくなります。ですから、奥歯の移動量が少ない治療計画の方が成功率が高くなります。

難易度の4つのレベル

上の3つのポイントがどれだけ当てはまるかによってマウスピース型矯正治療【インビザライン】の成功率が決まってきます。全て当てはまる場合はマウスピース型矯正治が向いているAのケースになります。一方、全て当てはまらない場合は、ワイヤー型矯正装置の方が向いているDのケースになります。

A.マウスピース型矯正の方がワイヤー型矯正より早く治るケース
B.マウスピース型矯正でもワイヤー型矯正とほぼ同等の治療結果が出るケース
C.マウスピース型矯正ではワイヤー型矯正と同じ治療結果を出す事ができないケース
D.マウスピース型矯正のみでは治すことが難しいケース

Aのケースに関しては、ワイヤー型矯正と同じクオリテイで、治療期間がかなり短縮できるケースです。治療期間が短くなる事は患者さんにとっては大きなメリットのため、マウスピース型矯正装置を積極的にお勧めしています。

インビザラインの難易度

治療を絶対に勧めないDのケース

AからDのそれぞれのパターンは同じ割合くらいあります。マウスピース型矯正でワイヤー型矯正と同程度の治療クオリティが維持できるケースはAとBのケースになりますので、全体の50%程度というのが当院の臨床経験からの分析です。

そして当院では、Dのケースは患者さんが希望されても、よほどの事がない限りマウスピース型矯正装置で治療は行いません。実際、マウスピース型矯正装置で治療を行ってしまうと、中々治療のゴールたどり着けません。途中で諦めてワイヤー型矯正装置に変更したとしても1からやり直しになる可能性が高く、患者さんの負担はかなり大きくなります。

ですから、矯正治療のケースを選ばず全てのケースをしっかり治すとしても、どんなに高くてもマウスピース型矯正装置の使用率は75%程度だと考えます。当院はDのケースをある程度、見極める事できるようになってきましたので、マウスピース型矯正装置の使用割合は70%程度になります。

矯正医によって差が出るCのケース

最後に残るのがCですが、こちらのケースを治していくには、多くの症例を治してきた経験値が必要になります。普通の治療計画では上手くいかないため、アンカースクリューのような付加装置を使用したり、特殊な治療計画を立てる必要があります。Cのケースは各矯正医の治療技術の差が出るところだと思います。

ですが、いくら治療計画を配慮しても、マウスピース型矯正装置だけではワイヤー型矯正治療より治療結果のクオリティは落ちてしまう可能性があります。そのため、リカバリーといって上下の歯に輪ゴムを長い時間かけ続けたり、ワイヤー型矯正装置を部分的に装着する可能性が高くなります。

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