こんにちは。まきの歯列矯正クリニック【千葉県】院長の牧野です。

 

マウスピース矯正【インビザライン】には過蓋咬合や上下顎前突など、アライナー(マウスピース)単体での治療が向いていないケースがあると、以前お話しました。その理由は、過蓋咬合の改善に必要な前歯を沈める圧下移動や、上下顎前突の改善に必要な前歯の歯根のみ動かすトルク移動は、アライナー単体ではかなり困難になります。

※マウスピース矯正は以下、商品名インビザラインと記します。

 

▶︎インビザライン の非適応症

 

アライナーは構造上、傾斜移動と呼ばれる歯が倒れる移動は起きやすいと言えます。ですから歯根をあまり動かす量が少ない、もしくは動かす本数が少ない治療計画はとても治療しやすいと言えます。このような前歯を後ろに倒しこむ治療計画で、もっとも治しやすい典型的な症状は開咬(オープンバイト)になります。

 

 

開咬とは、前歯が上下的に全く噛んでいない状態で、奥歯でしか噛めません。症状を持っている方ならわかると思いますがサンドイッチが前歯で噛み切れません。さらに、8020達成者(80歳で20本以上歯を残っている)に開咬症例は存在しないという研究からも、開咬は歯の寿命が短い事も示しています。これは、バランスよく噛む力が歯に伝わらないため、奥歯に過剰な負担がかかりやすいからと考えられています。

 

 

インビザラインの特徴が開咬治療にマッチ

開咬の治し方は、以下の3つです。

①前歯の歯軸を内側に変える

②奥歯を歯茎方向に沈める

③舌癖の影響を最小限に抑える

これを併用しながら治します。従来型のワイヤー矯正も基本的には治療の考え方は同じです。

 

 

①前歯の歯軸を内側に変える【前歯歯軸傾斜】

多くの開咬ケースは上の前歯が前開きに倒れています。つまり少し出っ歯(上顎前突)傾向になっているという事です。これをスペースを作り、前歯を内側に倒しこむ事で、下向きにも降り、上下の前歯がぶつかるようになってくるのです。

 

最初に書きましたが、インビザラインはこの倒しこむ傾斜移動が得意なのです。

 

図:前開きの前歯を倒しこむイメージ

 

 

②奥歯を歯茎方向に沈める【臼歯圧下】

前歯を噛むようにするための、意外な治療方針はこちらです。顎骨には頭の骨と蝶番になっています。顎関節という耳の下にある関節を中心に回転運動で開閉できるのです。そして靭帯が延びるとこるまで口が開き、歯が当たるところまで口を閉じます。開咬の場合は奥歯が当たるところまでしか口が閉じれない形になります。ですから、この奥歯をもっと歯茎方向に沈めれば、もうすこし口が閉じれるようになり、上下の前歯が近くのです。

 

この奥歯を沈める移動を「臼歯の圧下」と呼び、インビザラインの場合は、意図しなくても毎日アライナーを装着しているだけで勝手に起こります。他の歯並びの矯正の場合は、最後の噛み合わせの調整の際に問題になるのですが、開咬の場合はむしろ症状の改善方向に向かうわけです。

 

図:臼歯が圧下して顎が閉じやすくなる

 

 

③舌癖の影響を最小限に抑える【筋機能訓練】

開咬症状の患者さんは、必ずと言っていいほど舌の癖があります。舌小帯と呼ばれる筋が短かく舌が上に持ち上がりずらい低位舌であったり、前歯が空いているため会話時や飲食時に隙間を舌で埋めようとする舌突出癖がある状態があります。この舌癖は、前歯を前方向に押し出し、前歯が噛むのを妨げてしまいます。

 

この舌癖の根本改善は筋機能訓練と呼ばれる、日々のトレーニングが必要になりますが、すぐに治るわけではありません。インビザラインは、歯の裏面までカバーされていますので、前歯にかかる舌圧の力をある程度は減らしてくれるというわけです。

 

図:舌で前歯を前に押そうとしている

 

 

いかがでしょうか。インビザラインが開咬症例に向いている事がわかったのではないでしょうか。

 

ちなみに、開咬傾向の方のお顔の特徴としては「面長」です。顎がスッと縦に伸びていて弥生人顔とでもいうのでしょうか。面長の方は前歯の噛み合わせが深くない傾向にありますのでインビザライン治療向きと考えていただいても良いと思います。

 

⇨インビザラインの症例をチェック