ブログ

マウスピース型矯正装置でワイヤー併用になる3つのパターン

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

マウスピース型矯正装置でワイヤー併用になる3つのパターン

当院では診断時にマウスピース型矯正装置【インビザライン 】を使用する全ての患者さんに、「状況によっては従来型のワイヤー型装置を併用させていただく可能性がある事」を説明しています。マウスピース型矯正装置は万能に歯が動かせるわけではありません。ブラケットワイヤー装置を装着しなくてはならないケースは必ずあります。

リカバリーのためにワイヤーは使用する

マウスピース型矯正装置【インビザライン】でワイヤー装置を併用するパターンは主に3つに分けられます。どれもリカバリーといって、マウスピースで歯を治療計画通り動かす事ができず、アンフィット(不適合)になってしまったケースです。

アンフィットになると、歯は歯茎方向に沈んでいきます。マウスピースは特に奥歯を「挺出」といって歯茎と反対方向に引っ張り出す事が難しいため、リカバリーに補助装置が必要になります。ここでワイヤー装置は奥歯を「挺出」させる事が得意なのでリカバリーには有効なのです。

抜歯空隙への奥歯の前方傾斜

圧倒的に一番多いパターンがこれです。奥歯が前方倒れ込んできて、半分くらい歯茎に埋もれていきそうになる状態です。これは、小臼歯という前から数えて4,5番目の歯を抜歯し隙間を閉じる際、マウスピースの隙間を閉じようとする力が実際の歯の移動の力より強い場合に発生します。アンカレッジロスと言い、奥歯がマウスピースの隙間を閉じる力に耐えきれず、前方に倒れていってしまう現象になります。

<前方に倒れている奥歯>

上の奥歯に発生しやすく、一度倒れてしまうとマウスピースがしっかり歯を掴む事ができなくなり中々治りません。ワイヤー装置を一時的に併用して元の位置ま奥歯を持ち上げる方が圧倒的に早いと言えます。

歯をつかむ事ができない場合

マウスピース型矯正は歯をプラスティックのカバーでしっかり掴まないと動かす事ができません。このつかむ面積が少なければ少ないほど、歯の動きをコントロールする事は難しくなっていきます。歯茎から出ている歯の面積がかなり少ない場合はアタッチメントも設置できないため、ほとんど「歯の上カバーが乗っているだけ」の状態になり矯正力がかかりません。

<面積の少ない奥歯>

半分近く歯茎がかぶっており、手前の歯に引っかかって前方に倒れている下の第二大臼歯などが、これにあたります。奥歯のみに小型のブラケット装置を接着して動かしていく必要があります。

空回りする奥歯のねじれ

小臼歯と呼ばれる前から4,5番目の歯が90°近く回転しているケースは、改善が非常に難しいです。小臼歯は円柱上の形をしているため、上から覆うタイプであるマウスピース型矯正装置【インンビザライン】では、上手く歯をねじる事ができず、中で空回りしてしまいます。「開かないビンの蓋」状態です。

<90°近くねじれている歯>

普通はアタッチメントという突起を内外側に設置して引っかかりを強くするのですが、それでも時間がかかる割りには上手く行かない事があります。また、例え上手く回転させる事ができたとしても、今度は反対の噛み合う歯に向かって「挺出」させる必要があり、マウスピース単独では苦戦する事になります。

このような場合はワイヤー装置とゴムチェーンで強い回転力を発生させ、短期間で改善させた方が効率的です。

ワイヤー装置の併用の仕方

ワイヤー装置を併用する方は、マウスピース型矯正装置【インビザライン】全てのケースの中で10%程度になります。主に見えづらい奥歯に3本程度に最長6か月ほどブラケット装置します。

ワイヤー装置を接着するとマウスピースが入らなくなりますので、必ずマウスピースの調整が必要になります。

調整方法は2つあります。1つは、残りのマウスピースを全て医院に持ってきていただきブラケット装置がついている部分がぶつからないように全てボタンカットをする方法です。もう一つは、患者さんがご自宅で毎回マウスピースを途中でハサミで切ってもらう方法です。当院では後者の切ってもらう方法の方が多くなります。

<医院でボタンカット>
<患者さんが自分で分割>

ある程度、リカバリーが進みましたら再びスキャンをしてマウスピースを再注文します。その後、追加マウスピースの使用が始まる直前にワイヤー装置を撤去する形になります。そして、マウスピース型矯正装置のみに戻ります。

このエントリーをはてなブックマークに追加