ブログ

【大切】顎間ゴム(エラスティック)

「今日から夜、上下の歯に輪ゴムをかけて下さい」

 

 

矯正治療をしていると、どこかのタイミングでほとんどの方が言われます。マウピース型装置から裏側矯正装置まで、どんな矯正治療方法でも、最低1回くらいは顎間ゴム(エラスティック)という、ご自身で取り外していただく輪ゴムを使用する事があります。

 

 

使用している患者さんは分かると思いますが、顎間ゴムはかけると口が開きづらくなり疲れるのと、食事の度に外さなくてはならないため結構面倒です。ですが、治療にとってはとっても大切です。今回は、このマイナーな矯正器具である顎間ゴムについて説明します。

 

 

顎間ゴム・エラスティック・矯正

 

 

 

顎間ゴムとは

直径5〜10mmと小さな医療用の天然ゴムです。ゴムの太さや直径で強さが何段階にも分かれており、動かしたい歯の数や距離で選択します。上下の矯正装置についているフックに自分で引っ掛けて使用します。口を開けると「びろーん」と伸びるのですが、より引っ張られますので、話したりする時は疲れます(日中使用する場合は弱めのゴムの使用を勧めています)。装着したまま食事を取る事はできませんので、一度外して、食後に再度新しいゴムを装着します。使い捨てですので、次の来院までの1か月はもつように1袋100個、ゴムが入っています。

 

 

矯正装置は普通上下に分かれています。抜歯した空隙を閉じたりする場合は上下それぞれ、固定式のゴムを使用すれば良いのです。しかし上下の歯列を引っ張りたい時は食事ができないため固定式のゴムは使用できません。ですから患者さんに使用してもらう顎間ゴムが必要になるのです。

 

 

 

様々な輪ゴムの掛け方

顎間ゴムの使用目的は、引っ張り合う事で上下の歯並びを上下左右に動かします。ただ、上下片方だけ歯並びが動くわけではないため、気をつけない動かしたくない歯まで動いてしまいます。様々な掛け方がありますが大体4つのパターンに分かれます。

 

 

①Ⅱ級ゴム

主に上の歯が前に出ている上顎前突症例に使用します。上の犬歯付近と下の第一大臼歯付近のフックにゴムをかけます。上の歯列が後方に、下の歯列は前方に引っ張られる力がかかります。上の前歯を後ろに引くための固定源として使用されたり、成長期の下顎の前方推進のために使用されます。

II級顎間ゴム

 

②Ⅲ級ゴム

主に前歯の噛み合わせ上下逆である反対咬合症例に使用します。下の犬歯付近と上の第一大臼歯付近のフックにゴムをかけます。II級ゴムと逆の働き方になります。上の奥歯を前方に移動させる事や、前方に倒れている下の奥歯を起こす事に使用されます。

III級顎間ゴム

 

③クロスゴム

クロスバイトやシザースバイトなど上下の噛み合わせが左右にずれている場合に使用します。上下同名歯の表側と裏側のフックに局所的に歯の噛む面をクロスするようにゴムをかけます。第二大臼歯など後ろの歯にゴムをかける場合は、ゴムの装着にやや苦戦します。

クロス顎間ゴム

 

④垂直ゴム

開咬といって上下の歯が接していない場合や噛み合わせを緊密にしたい時に使用します。上下同名歯の表側のフックに縦にかけ、単純に縦に引っ張り合いします。他の歯の移動の反作用で上下の歯が噛み合わなくなる事を予防するために装着する事もあります。前歯の場合、ゴムを装着すると口が開きづらくなります。

垂直顎間ゴム

 

 

 

顎間ゴムの使い方

求める効果によって、装着時間は異なります。8時間などの夜間使用〜全日使用まであります。食事の際は外さなくてはなりませんので、装着時間を長く指導されている場合は、小分けの袋に入れて、いつでも再装着できるようにしておく必要があります。ゴムは使用時間の二乗に比例して効果が出ます。例えば、指示時間の半分しか使用していなかった場合は、1/4程度しか効果はありません。忘れずに装着する工夫が必要になります。

 

 

最初は中々かけづらいので、鏡の前でよくかけるフックを確認して装着します。奥歯の場合は専用ホルダーを使用した方がかけやすいです。また、長期のゴム使用によって、前歯の場合は歯に冷たいものがシミ始めたり、奥歯の場合は顎関節に痛みが生じてたりする事があります。この場合はゴムの強さを調整するか、使用を中断する事が望ましいため一度担当医に相談する事が望ましいです。

 

 

自分で管理しなくてはならない事が多い顎間ゴムですが、しっかり使うか使わないかで、治療結果や治療期間が大きく変わります。面倒な事が多いのですが、頑張って使用しましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加