矯正治療によりライフスタイルが【制約】される事も
矯正治療は期間がかかるため、2,3年後のライフスタイルも治療をいつ始めるかの検討要因に入れておいた方が良いと言えます。
春の引っ越しのシーズンが近づいてきました。年が開けて今から準備されている方も多いのではないでしょうか。転勤や留学などを理由に遠方に移動する方もいれば、賃貸住まいから住宅購入など、より良い環境へ移動される方もいます。
例えば、移動が期間限定で、既に小学生のお子さんがいる家族などは場合、子供の生活環境の変化を考えると、ご主人だけ単身で行くか、家族全員で移動するか悩むところだと思います。これは、子供の学生生活が住居の制約になっているという事です。同じ事が矯正治療にも起こります。
子供の矯正治療という制約
結局、転居の可能性が高い場合の小学生の矯正治療は・・・
1.既に噛み合わせに問題が生じており「治療費加算リスクをとって治療を早めにスタートするか」
2.歯並びは気になるが無駄な治療費を抑えるため、「中学生くらいまで矯正治療開始を待つか」
当院は転居の可能性が高い方は、重大な噛み合わせの問題がない限り、2の治療には踏み込まず定期観察を勧める事が多いです。こういった考えの医院は実は少数です。これは小児矯正を行う事で転居後に矯正難民になる事を避けたいからです。子供の矯正治療が家族ライフスタイルの制約にならないような治療プランを提示しています。
海外への留学や一時出張の場合
最近の20代の患者さんとお話しをしていると、海外への留学希望を持っている方は結構いらっしゃいます。また、大学のカリキュラムで既に半年〜1年海外留学が含まれているところも増えてきて、海外留学が普通になってきているのを感じます。
私自身は留学した事はないのですが、海外に行く事はグローバルな視点で1歩引いて物事を考える事ができるようになれるので、とても良い経験になります。日本より海外では歯並びの良さはポイントになりますので、その前に矯正治療をしたいという相談は、当院でも増えてきました。ただ、そこでネックとなるのは治療期間になります。
多くのご相談内容は「来年に海外に行こうと思っているのでそれまでに歯並びを治したい」という内容です。ただ平均治療期間2年間になります。本格矯正で歯の移動量が少ない軽度なケースでも治療期間は最低1年半程度はかかります。また成人で抜歯も併用するパターンの場合は2年半はかかる事もあります。
さらに、この治療期間は矯正装置を設置して歯を動かし始めてからのカウントです。治療前の検査や診断、装置準備などの期間は含まれていません。治療後はメンテナンスも最低3ヶ月程度は受けていただきたい事を考えると、実際は治療期間プラス半年くらいは考えなくてはなりません。
そうすると平均約2年半〜3年の期間が必要となります。来年に行こうと思っているのに治療完了は3年後!・・・なんて時間かかりすぎですよね。という事で、「海外行く前に矯正治療を終わらせよう」・・・というのは現実的には難しいのです。
ただし、海外の在留期間は1年程度の場合は、次のような方法もあります。インビザラインを中心とした取り外しのマウスピース型矯正装置を用いる方法です。海外にいる間はご自身でマウスピースを交換し、帰国後、再審査をして治療の継続を行なう方法です。これで時間のロスなく矯正治療をする事も可能です。
逆に、3年以上帰国しない場合は現地で矯正治療を受けた方が良いかもしれません。ただし、日本人の歯並びは世界的にも「でこぼこ」と「出っ歯」が多く難しい歯並びと言われています。現地でも日系の矯正の先生が治療している歯科医院がありますので、そちらで治療を行う事をおすすめします。