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マウスピース型矯正の違い【クリアコレクト等とインビザライン】

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

マウスピース型矯正装置【クリアコレクト・薬機法適応外】という商品がスタートしました。

※マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置は完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。

日本でシェアNo.1のマウスピース型矯正装置は、アラインテクノロージ社のインビザラインです。これは、口腔内スキャナーを使ったデジタル矯正の一つになります。デジタル矯正は規制も厳しくない本場のアメリカでは、日本より多くの企業が参入しており、かなり種類があります。

それだけではなく、DIY矯正といって、3Dプリンタなどを利用して、医療機関を通さず自分で矯正治療をするキットまで販売されていたりします。矯正治療の本国アメリカではこのDIYが、今とても問題になっているようです。

今回はインビザライン以外の歯科医院で使用できるマウスピース型矯正装置として、クリアコレクトについてに説明します。

クリアコレクト

クリアコレクトとは2006年に、アライナー歯科医師のWillis Pumphreyと、歯科技工士のPaul Dinhによって開発され、その後改善していき、アメリカでシェアNo.2のマウスピース矯正装置になりました。

クリアコレクトは、インビザラインと同じように口腔内スキャナからデータを取りアライナーを作成し、患者さんに1日22時間アライナーを使用してもらう治療装置です。アタッチメントや専用の治療計画ソフトもあります。スキャナは3shape社のTRIOS3がメインのようですが、STLと呼ばれる立体画像データの保存形式に対応しているスキャナであれば、全て対応しています(インビザラインは現在、自社のスキャナi Teroのみ)。

クリアコレクトのアライナーを作る工場はアメリカのテキサス州にあります。スイス最大インプラントメーカーのストローマンにクリアコレクトが取り込まれた事で、近々日本にも導入されるそうです。さらに、アジア地域のシェア拡大のために日本にもクリアコレクトの工場ができるプランもあるようです。もし、国内に工場ができた場合、クリアコレクトは、「海外カスタムメイド矯正装置」の分類から外れるため、日本の薬機法の適応になりますから、大きく日本のマウスピース矯正のシェアが変わる可能性を秘めています。

<現在のアライナー取り扱い地域>
https://clearcorrect.comより

クリアコレクトのアライナーの形は歯茎に2mmほどかかるくらいカバーしており、インビザラインよりやや大きめになります。ですがその分、維持力が上がるため、歯に装着するアタッチメントの量を減らす事ができると報告しています。この部分が一番のインザラインとの違いになります。賛否両論ありますが、アライナーが大きくなると、たわみが減り弾性力がなくなる分、歯にかかる力は強くなる傾向にあります。審美性に関しては、アタッチメントが少ない方が若干良いかもしれません。

また、アライナーの材料も異なります。硬さや弾性はインビザラインのビベラリテーナーに近い感じで、装着時の乱反射を減らすためやや曇りのある材用でした。スマートトラックというインビザラインの弾性のある独特のアライナー材料は、咬合力が歯の矯正力として利用できるのですが、これがメリットもデメリットにもなります。どちらかと言えば、奥歯を動かしたくないような部分矯正治療や小臼歯抜歯治療にはクリアコレクトの方が向いているのかもしれません。

その他の治療の全体的システムとしては、アライナー配送方法がステップごとという点以外は、インビザラインと変わらないようです。治療費用についてはアメリカではクリアコレクトの方が、インビザラインよりやや安い傾向にあります。

他には、デンツプライ社によるシュアスマイルアライナーやKOVOの傘下のOrmco社のインシグニアも日本に導入されます。日本もマウスピース型矯正装置が色々と選べるようになる事は、競争原理的には良い医療が提供できるようになるという事ですので、歓迎されるべき事だと思います。日本はアラインテクノロジー社が一人勝ちです。携帯電話会社などと一緒で、3社くらいでシェアを争う方が良いと考えます。

他社の部分矯正用アライナー

マウスピース型矯正装置には、難しい奥歯を動かす治療も可能なタイプと、前歯のみの部分矯正治療用のアライナーに分けられます。部分矯正治療用のアライナーは、枚数も多くないため、海外製ではなく日本で歯科技工士が1つ1つ作成するタイプが多くなります。ソフトタイプとハードタイプという2つの硬さのマウスピースを交互に使い歯を動かしていく方法です。代表例としては、キレイラインアソライナーなどが挙げられます。

これらのマウスピース型矯正装置は、日本製なので輸送費もかかりませんし、使用するアライナー枚数も少なめですので、費用は他社より安めの治療費設定になります。もちろん、適応症も存在します。難しい歯の動きには向いていません。

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