マウスピース型矯正のバイトランプ
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マウスピース型矯正装置にはバイトランプ(かみしめ用の塊)という突起が上の前歯の裏側に設置されることがあります。過蓋咬合の改善や奥歯の離開へのリカバリーの目的で使用されます。詳しく説明していきます。
バイトランプとは
バイトランプとは、主にの上の前歯の裏側に設置される長方形のマウスピースのでっぱりです。治療途中で設置されることが多く、よく患者さんから「マウスピースにアタッチメントのくぼみが増えたが何もつけなくて大丈夫か」と聞かれるのですが、この部分の歯には何もつけなくて大丈夫です。バイトランプは中が空洞のマウスピースの水平のテーブル状の突起になります。ほとんどが上の前歯2〜4本に設置されますが、上の犬歯についている事もあります。
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<上の前歯の裏側につくバイトランプ>
バイトランプの作用
バイトランプがあると、上下の歯をかみ合わせようるとするとした際に下の前歯が常にこのテーブルにぶつかるような状態になります。そうすると上の前歯には、「圧下」といって歯が沈みこむ力が断続的に加わっていきます。この上の前歯の圧下はマウスピース型矯正治療では難しい歯の動きの一つになるため、バイトランプの設置は手助けになります。
また、前歯でバイトランプを噛むと、上下の歯は前歯だけ接するような状態になるため、奥歯は常に離れた状態になります。マウスピース型矯正は、どうしても日常のかみしめ動作で奥歯が歯茎方向に沈んでいってしまう傾向があります。これを防止することが可能になるためで「臼歯オープンバイト」を防ぐ効果もあります。さらにマウスピース装着時は上下の奥歯に隙間があるため、噛み合わせをよくするためのアタッチメントやゴムにより「挺出」といって歯を垂直方向に引っ張る移動が効果的に発揮されます。
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<バイトランプを下の前歯とぶつける>
バイトランプの適応症
バイトランプは前述のように「前歯の圧下」と「奥歯の挺出」の補助を行うことが目的になります。このような歯の移動様式が必要な代表的な症状は、過蓋咬合(前歯の深噛み)になります。バイトランプの設置により効率的に上の前歯を圧下してくれます。また、治療後のマウスピースタイプリテーナーにも後戻りを防ぐために設置することがあります。
その他、意図せずに治療途中で奥歯がかめなくなってしまった場合のリカバリーにもバイトランプを設置することがあります。マウスピース装着時に奥歯でかむ力を排除し、上下奥歯の空隙をあえて大きくすることにより、歯を挺出させる力を増加させ、かみあわせを治していきます。
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<バイトランプの作用>
バイトランプの注意点
バイトランプは下の前歯がマウスピースのテーブルをしっかりとかむ事で力が発揮されます。よって、上の前歯が少し前に出ている状況では、上下前歯のかむ位置がずれてしまい上手く効果が出ないことがあります。場合によっては下の前歯がバイトランプの後ろ部分をかんでしまい効果が出ないどころか、上の前歯が前に押される力が発生してしまうこともあるため、しっかりバイトランプがかめる位置にあるか確認が必要になります。このように、バイトランプは常に使用できるわけではなく、設置時期をよく検討しピンポイントで使用していきます。
バイトランプの症例
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![インビザライン・バイトランプ症例](https://makino-ortho.com/wp-content/uploads/2023/11/aa9fc753f47b0548e8801fd1ad7128e8.jpg)
<症例概要>
主訴:前歯の突出とガタガタ
住まい:千葉県八千代市
年齢・性別:大学生女性
症状:過蓋咬合・上顎前突
治療方針:上顎遠心移動・IPR
治療装置:マウスピース型矯正装置(アライナー装置)
治療期間:1年6か月
アライナー枚数:39+30+8ステージ (7日交換)
リテーナー:上下クリアタイプ+下フィックスタイプ
治療費用:990,000(税込)
代表的副作用:痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯髄壊死・歯肉退縮
▶︎その他の副作用
<治療シミュレーション>
上4前歯の裏側にバイトランプを設置し、過蓋咬合を改善していきます。
※マウスピース型矯正歯科装置(インビザライン)は、完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。