矯正装置(ブラケット)がよく外れる3つの原因
矯正装置が故障しやすい患者さんは、噛む強さ・歯の形・歯磨きのどれかに問題があります。
昨日、寿司を買って帰ったのですが、さぁ食べようと思って見てみると、イカとカッパ巻きしか残っていませんでした(笑)このイカですが、矯正治療中の方はよくわかると思いますが、非常に危険な食べ物です。矯正装置が結構の確率で外れます。私も矯正治療を受けていた時は、これで何回もブラケットを外してしまった事があります。硬い食べ物や弾力性のある食べ物は、噛む時に1点に強い力がかかるため、ブラケットを外しやすいです。注意しましょう。
ブラケットがよく外れる人は一定数いる
「食べ物も気をつけているのだけど、なぜか矯正装置がよく外れる」という人は私の感覚だと10%程度います。ブラケットなどの装置が外れると、邪魔だったり、ワイヤーが刺さったり、付け直しに医院へ行ったりと少し面倒です。これが何回も起こると、同じ事の繰り返しで、段々通院が嫌になってきます。連れて行く保護者の方にとっては、予定も調整しなくてはならないし、もっとストレスが溜まります。かといって、矯正装置が故障したまま長期間放置しておくと治療が進みませんので、やはり調整に行っていただきたいところです。
でも、全ての人が装置が外れやすいというわけではありません。例えば、当院のスタッフ自身の矯正治療では、1回もブラケット装置が外れた事がありませんでした。実は、この矯正装置が故障したり外れやすい人には3つの特徴がある事が、わかってきました。
噛む力が強い
人の力は最小で30kg、最大で100kgと個人差があります。さすがに直接100kg矯正装置に力がかかったら歯から外れます。むしろ外れてくれないと歯にダメージが加わります。この力が、毎回矯正装置にかかるわけではありませんが、食べ物を伝って、局所的にかかる事があります。上記のイカのような弾力性のある食べ物だと、噛み切ろうとする力が、矯正装置を外す力になります。
この咬む力が強い方の特徴としては、深咬み(過蓋咬合)や骨格が短頭型といって下顔面が幅広の方に多いです。
矯正装置の接着面積が歯に少ない
小学生〜中学生のころはまだ歯の萌出期であり、完全に歯が歯茎から出きっていない事が多いです。また、歯の磨耗が著しい方や歯茎が腫れている方は、歯茎からみえる歯の頭の高さが著しく低くなっている事があります。上記の噛む力が強い人に、よく見られる現象ですが、摩耗によってさらに小さくなっています。やはり矯正装置をつける歯の面積が小さい方は矯正装置装着も難しく、接着力も弱い傾向にあります。
虫歯の治療が多く銀歯やセラミックの歯が多い場合も、そのままでは天然歯のように矯正装置を装着できません。実は、天然歯の表面はザラザラなので接着剤がつきやすいのです。ですから治療済みの歯には、事前に表面処理を行なったり、特殊な接着材が必要になってきます。これらを行なっても、天然歯の接着よりは弱いと言えます。
歯磨きが良くない
歯ブラシの状態と矯正装置の脱落は意外と関係あります。歯ブラシが悪い患者さんは装置装着前のクリーニングで歯の汚れが完全に取りきれない事と、歯の表面がうっすら初期虫歯になっている事があり、矯正装置の接着を弱くします。残った歯垢の上からや、虫歯で少し溶けているエナメル質の上からは、接着剤は上手く流れません。
面倒でも故障したら歯科医院に連絡を!
矯正装置が故障したら、やはり通院している歯科医院に連絡をした方が良いと言えます。次の来院日まで日にちがある場合は、再装着しないままでいると、実は1カ月ほど治療が何も進まないまま、経ってしまいます。要するに治療が延びていくだけなのです。医院によっては、休診日でもメールやLINEなどで緊急に対応してくれる医院もありますので確認してみましょう。
矯正装置の故障が繰り返される患者さんは、「噛む強さ・歯の形・歯磨き」のうち3つ中の1つだけ要素があるという人は少なく、大体2つか3つの要素を持っている事が多いです。それでも、故障が起きやすいのは治療の初期(6か月程度)です。その後は、多くの方は安定します。矯正治療自体にも慣れなくてはならない時期なので、モチベーションを下がりやすいのですが、装置が故障しやすいのは、最初のころだけと思って我慢しましょう。
何回もブラケット装置が外れると、段々歯科医院に行くのが億劫になってきますが、放置しておくと治療が停滞してしまう事があります。半年以上しても改善がみられない場合は、固定式ではなくマウスピース型矯正装置への変更なども検討してもらうと良いと思います。