ブログ

治療済みの銀歯やセラミックの歯がある場合の矯正治療

治療済みの歯が多くある場合、「装置の接着」や「補綴歯の再治療」という点において矯正治療がやや複雑になっていく傾向にあります。

 

 

年々、矯正歯科治療を受ける方は増えてきているですが、私は中でも成人の方の治療希望が増えてきているように感じます。50代の方なども普通に矯正装具をつけています。

 

矯正治療は歯を失っていなければいつまでも受ける事ができますが、同じ永久歯でも10〜20代と30代以上では歯の状態が異なってきます。これは、歯並びの中に何箇所かの「被せもの」もしくは「差し歯」といった大きな補綴歯が出て来る事です。

 

 

 

 

虫歯治療に使われる材料

虫歯になっている部分を取った後は、必ず何かの材料で修復します。前歯は審美性を優先した材料、奥歯は日常の噛む力に対しての耐久性を優先した材料が使用されます。これには、レジン(樹脂)・金属・セラミック(陶材)に主に別れます。治す歯の部位と、自費診療を選択するかで使用する材料は異なります。どの材質かによって、矯正装置の接着剤との相性が決まります。

 

 

天然歯の接着は一番強い

ワイヤー型装置を歯に装着する場合、一番強い接着力を持つ歯は、何も治療をしていない天然の歯です。一見、ツルッとしているエナメル質ですが、顕微鏡などで、その構造を詳細に見てみるとエナメル小柱と呼ばれる細かい管が集まってできています。この管に、接着剤が上手く流れ込む事によって、歯と接着剤が機械的に噛み合い、矯正装置が接着する仕組みになっています。

 

 

レジン(樹脂)との接着

この接着力が、治療済みの歯の場合は異なってきます。保険診療や仮歯などに使用されるレジンと呼ばれる樹脂は、中の構造が粗造である事と、接着剤と基本組成が同じ事から、割と接着力は高いと言えます。表層の部分を多少削れば、天然歯と同じレベルの接着力が得られます。

 

 

金属との接着

銀歯やセラミックの裏打ちの金属部分は、表面に接着剤が流れる傷を作るのが難しいため、天然歯やレジンと比較して接着力が落ちます。それでも、仕方なく金属部分に矯正装置を接着する場合は、専用の細かい砂を出す機器(サンドブラスト)で表層もに少し傷を作り、その上にメタルプライマーと呼ばれる薬液で処理し、接着剤と化学結合するようにします。

 

 

ここまで手間をかけても、残念ながら噛む力が強くかかる奥歯などは装置が外れやすいといえます。ワイヤー型装置の場合、直接ブラケット装置を接着せず、バンドと呼ばれるリングで囲ってしまう事が多くなります。

 

 

セラミックとの接着

セラミック(陶材)との相性は最悪です。私も、散々悩まされました。表面がかなりツルツルであり、そのままでは機械的な接着は全く期待できません。かといって、傷をつけようとすると、自費診療で十数万かかった歯にヒビが入ってしまい割れてしまうという事が起きます。

 

 

セラミックプライマーと呼ばれる化学結合させる薬剤もあるのですが、接着力の増強は微力であり、ちょっと強い矯正力をかけるとすぐ装置がとれてしまいます。奥歯の場合は銀歯と同じくバンドを使用する形になるのでそこまで問題になりませんが、前歯の場合は一旦、接着剤と相性が良いレジンの仮歯しなくてはならない可能性があります。特に裏側装置で治療を行う場合は強い接着力が求められるため、絶対仮歯にしていただく必要があります。

 

 

 

矯正治療中の修復歯の脱離・破損

虫歯の治療で補綴歯が多い場合、2年以上の長い矯正治療中でどこかが外れたり、破損をしたりする事がでてきます。

 

 

固定式のワイヤー型装置の場合は、「被せもの」や「差し歯」と歯質との接着力が矯正力に負けてしまい、歯から補綴物が外れてしまうという事が頻繁に出てきます。

 

 

また、マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】など場合は、柔らかいマウスピースを四六時中噛み締める事で歯を動かしていくため、セラミック材料で治した歯が、途中で割れて破損する確率はやや高くなります。治療歯が多く固定式装置との接着の問題でマウスピース型装置を選択した患者さんに起こります。

 

 

中でも部分的に健康保険適応になっている奥歯のCAD/CAM冠などは、削り出しで作っているため、特に割れる事が多いと言えます。

 

 

抜歯した部分の補綴歯

虫歯治療の後の歯根部の感染、歯根破折、歯周病による支持骨の喪失などで仕方なく抜歯になる事はあります。その後は、歯のない部分の補綴は、隣の歯を削って橋渡しにするブリッジや、人工歯根を植える手術をするインプラントが一般的です。

 

ブリッジもインプラントも、矯正治療の際に同様の問題が出てきます。それは、そのままでは位置が固定されており、歯を動かすことができないという事です。全体矯正治療を行う場合は、ブリッジなら分割一旦撤去になる事が多いようですが、外してみたら維持歯が既に保存不可な状態になっている事もあり、大きく治療方針が変更になる事もあります。

 

 

インプラントの場合は、かなり困難です。撤去する事は難しい事も多く、その他の歯列を妥協した位置に動かすような治療方針になります。

 

 

基本、大きな修復歯は矯正後はやり直しが必要

そもそも補綴物は矯正治療を行う前の悪い歯並び・かみ合わせに合わせて作っています。それを矯正治療dえ歯を動かしていくと、かみ合わせが変わり想定以上の力が補綴物にかかる事もありえます。ですから、補綴歯はどの歯も矯正治療後にやり直し治療が必要な可能性がある事を理解した上で治療は行うべきと言えます。

 

 

治療後もセラミックの補綴物が大きな問題なく、そのまま使用できたらラッキーと考えるべきです。これから矯正治療も考えている方の修復処置は、一旦待って、矯正相談後に治した方が良いといえます。でないと時間も費用も余分に書かてしまう事がります。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加