切端咬合(せったんこうごう)を知っていますか?
切端咬合は軽度の反対咬合と開咬が混ざった状態で前歯で食べ物が咬めません。
オーバージェットとオーバーバイトがゼロ
前歯のかみ合わせを評価する項目としてオーバージェットとオーバーバイトという項目があります。これは、上下の前歯の重なっている部分の長さを横方向と縦方向で測ったものになります。正常値は両方とも2〜3mmになります。この範囲をプラスにもマイナスにも超えるとかみ合わせに支障が出始めます。
このオーバージェットとオーバーバイトがゼロの状態を切端咬合と呼びます。ゼロといっても、上下の前歯は離れているわけではなく、わずかに接しています。でもこれでは、前歯で咬めません。
ハサミを想像してもらうとわかりやすいのですが、上下の刃が重なることで、紙をせん断することができます。つまり切端咬合の場合は、食べ物をくわえる事ができても、噛み切ることができないのです。
切端咬合の原因
切端咬合は、前歯の前後的問題である受け口(反対咬合)と、上下的な問題である開咬が、軽度に併発している状態です。ですから、反対咬合の原因である下顎の骨格的な大きさの問題と、開咬の原因である舌の位置などの機能的問題の両方を持っている事が多いです。
切端咬合の症状
歯並びの見た目はデコボコなどの症状がないケースもあるため、「噛み合わせが悪い」という主訴で矯正治療を希望される方が多いです。
開咬と反対咬合の症状をそれぞれ持っています。前歯で噛む事ができない分、奥歯に力がかかってしまい、歯の長持ちがしづらいと言えます。顎関節にも影響が出やすいです。下の前歯が少し前方にある事で、下唇が前に出ているように見えたり、笑った時に下の前歯が目立つ事もあります。また、前歯に負担がかかっており大きく揺れたり、歯が欠けたように上下の前歯が平らに削れてしまっている事もあります。
切端咬合の治し方
開咬症状に向いている矯正装置はマウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外】が、切端咬合にも向いています。そして、反対咬合のように下の歯が上の歯より相対的に前方に出ているケースが多く、これを後ろに引っ込めるために下の親知らずを抜歯する治療方針を選択します。舌の位置も低位舌という状態になっている事が多いため、口腔筋機能療法も必要になってきます。
20代女性・治療例
初診時には上下の前歯の2本のみ、かろうじて接触がある状態です。マウスピース型矯正装置の特性を生かして噛み合わせを改善させました。
<症例概要>
主訴:前歯で噛めない
年齢・性別:20代女性
住まい:千葉県我孫子市
症状:切端咬合・軽度叢生
治療方針:上顎拡大+下顎後方移動+ストリッピング
治療装置:商品名(インビザライフル・薬機法対象外)・顎間ゴム
治療期間:1年5か月
アライナー枚数:58+15+14ステージ(7日交換)
リテーナー:上下フィックスタイプ+クリアタイプ
治療費用:900,000(+税)
代表的副作用:痛み・治療後の後戻り・歯根吸収・歯髄壊死・歯肉退縮
その他の副作用とリスクについて▶︎
※完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります(詳しくは)。