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【最新情報】マウスピース型矯正装置の交換周期日数は5日?

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

アライナーの交換日数

マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】のマウスピース交換周期日数は、年齢・症例難易度・装着時間で5〜14日の中から決まります。

クリンチェックで決まるステージ数

マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】の治療計画はクリンチェックという専用のシミュレーションソフトにより最終的な治療後の歯の移動位置を決めます。例えば「ゴールにたどり着くまで50ステージ」という感じで、そのまま必要なアライナー(使用するマウスピースの事)の量も50枚と決まります。

例えば、49ステージだと、PC上で0.5秒に1ステージくらいでコマ送りできますので、たった25秒くらいで治療が終了します。この動画を見ると、実際には難しい治療で枚数も多い治療でも、不思議と簡単に治せそうな気がしてしまうところがクリンチェック動画の怖いところです。

マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】の提供元のアラインテクノロジー社が推奨する交換スピードは2週間(※)です。という事は49ステージの場合はざっと2年間弱かかるという事になります。計算は「14日 x 49枚 = 686日」です。

(※)2018年以降は1〜2週間交換になりました。

<歯の動き方をみて交換日数は決めます>

ですが、マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】治療は最初にオーダーしたマウスピースのみで終わる可能性は低いです。必ず、予定通りに動いていない歯があったり、アンフィットといって途中でアライナーが入らなくなる事があります。ですから、リファインメントといって、治療経過を再評価をし、さらに数十枚追加アライナーが必要になる事がほとんどです。そうなると、この場合は治療期間は、2年をオーバーしてしまいます。

私は、患者さんのモチベーションを考えて、できるだけ治療期間は2年以内を目指していますので、この交換プランは「ちょっとないのかな」と考えてしまいます。

マウスピースの交換日数は5日〜14日

マウスピースの交換日数は各医院の判断は異なります。また、加速装置と呼ばれるバイブレーション型装置(例:商品名アクセルデント)や細胞活性型装置(例:商品名オルソパルス)を使用する医院の場合は、3〜5日以内の交換などが中心で、通常より短い傾向にあります。マウスピースの消費期間は格段に短くなりますが、その分、ステージ数を増やした治療計画になっている事もあり、トータルでの治療期間は、使用しない場合と変わらない事もあります。

※加速装置はまだ、その効果を証明がされていないため当院では一部の患者さんにしか使用しておりません。

当院の交換日数は5日・7日・10日の4パターンです。交換日数の決定は、患者さんの年齢と歯の動き方に、コンプライアンスを見て決めます。コンプライアンスとは、患者さんが1日のアライナー使用時間を20時間以上遵守し、チューイーを噛んでもらい、しっかりアライナーフィットをさせる事になります。

交換日数は3つの要因から決まる

以下の3つの要素のバランスをみて、個々に合わせて日数を調整します。また、治療中、常に同じ交換日数というわけではありません。

年齢

治療する方の年齢が上がって行くと歯茎と骨の代謝が悪くなっていきます。また、歯茎などの歯周組織にも過度な力をかける事ができなくなりますので、交換日数は長めにできます。

逆に中学生までの成長期のお子さんの場合は、歯根が完成していないため「歯が生える」という力を使う事ができます。その分、1枚あたりのマウスピースの使用時間も短くする事ができ、交換日数は早める事ができます。

症例難易度

難しいケースであればあるほど、歯の移動はゆっくり慎重に行わなくてはなりません。ついては、傾斜移動と呼ばれる歯根の移動が少ない移動の場合、時間がかからないため、交換日数を短くする事ができます。

マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】のクリンチェックシミュレーションでは歯根部分の動きは再現されていません。ですから、歯冠といって目に見える部分の動きは少しなのですが、予想以上に歯根の移動量が大きい場合があります。これは、上顎前突過蓋咬合ケースに起きやすいです。

装着時間

マウスピースの装着時間を守る事をコンプライアンスとも呼びます。コンプライアンスについては、患者さんの生活スタイルとキャラクターによるところが大きいです。

最初の1ヶ月は長めに装着していただき、その期間の1日の平均使用時間などをよく聞いた上で、可能であれば交換日数を短くしていきます。また、旅行などで何日か装着時間が短くなる場合は、一時的に交換日数を長くしたりと来院時に変更させたりもします。

よくある治療期間のパターン

当院ではこのようなパターンが一番多いと言えます。最後の追加アライナーが5日交換の理由は、移動量が少ないからです。

例:30代女性・難易度標準・コンプラアンス標準(50+25+15ステージ)
初回:7日交換 x 50ステージ = 350日
追加1:7日交換 x 25ステージ =175日
追加2:5日交換x15ステージ=65日
計590日+追加発注ロス期間20日 = 610日
治療期間:約1年8ヶ月

自己判断による交換は危険

たまに、自己判断で交換日数を早められる患者さんもいらっしゃいますが、これは危険です。予定通り歯が動いていなかったりで、アライナーがアンフィットして結果的に治療期間が延びたり、一時的に強い力がかかり過ぎてしまい歯髄壊死や歯肉退縮など不可逆的な損傷を引き起こしてしまう可能性もあります。歯科医師の指示を守りましょう。

人によってはアライナーを交換して3日くらいすると全然痛くなくなり、その後しばらくはアライナー自体も緩いままの方もいます。でも実はその期間は、新しい歯根の位置で周りの歯槽骨が再形成されている時期でもあります。この期間を飛ばしてしまいますと、後に歯並びの安定性に影響を与えてしまいます。

また、インビザラインにはIPR(ストリッピング)といって、歯と歯の間にヤスリをかけてスペースを作る治療計画が多いです。このIPRは最初に決めたステージ数の付近で通院していただき行います。これが、インビザラインアライナー交換日数を上げてしまうと、適切な時期にIPRが間に合わないという事が生じ、治療精度が下がるという事態も生じます。

インイビザライン 相談
<治療計画をみて交換を早める事があります>

それでも、「アライナーの交換時に痛みも少なく、交換速度を早められそうだな」というような感じがあるようであれば、来院時に担当歯科医師に相談してみると良いと思います。

ところで、「5日交換の患者さんなんているのか?」というと、少ないのですが一応います。それは、小中学生でアライナーをしっかり20時間以上使用してくれている方です。

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