出っ歯(上顎前突)の原因
出っ歯の原因は、歯の生える位置が問題の場合と、下顎のサイズが問題の場合があり、経験的には遺伝的な影響が大きいと考えます。
主に上の前歯が前に出ており、目立つ状態の事を「出っ歯」と呼びます。下の前歯との隙間が6mm以上あると当てはまります。学校歯科検診の中にも項目としてあります。
症状には2つパターンがある
同じ出っ歯でも、症状は大きく2つに分かれます。最近では下記の二つの症状の片方だけというより、両方持っている患者さんが増えてきています。当然ながら、両方の症状を持っている場合の方が重症度は重くなります。
上の前歯が前開きになっている
上の前歯には適正な歯軸というのがあります。これが、上唇方向に倒れている状態になっている状態です。上顎前歯唇側傾斜と専門的には言います。
セファロ分析というレントゲン計測を行うと細かい角度までわかるのですが、もっと簡単な基準があります。それは、直立した時に上の前歯の前面が床と垂直になっているかを見るのです。ここで前歯の先が前に倒れており、垂直でない場合は唇側傾斜が起きている事が多いです。
お顔の特徴としては、出ている上の前歯が下唇にあたり下唇がめくれてしまうため、口を閉じると下唇が目立ちます。
治療方法としては、後ろの歯並びにスペースを作って、出ている前歯を引っ込めるという方法をとります。スペースの作り方としては、大きくスペースを必要とする場合は第一小臼歯という前から数えて4番目の歯を抜歯する方法が一般的です。必要なスペースが少ない場合は親知らずを抜歯したり、歯にストリッピング(ヤスリをかける)を行って対処します。
下顎が小さく骨格に問題がある
人間の顎は、上顎は脳、下顎は体の成長に近い形で上下異なって成長します。ですから、上下で位置や大きさのバランスが崩れる事があります。ここで下顎が小さいと、上下の前歯の位置がズレてしまい出っ歯になります。下顎後退症と専門的には言います。
この下顎のサイズですが、ちょっとわかりずらいのですが、横幅ではなく奥行きの長さの事になります。こちらもセファロ分析を行うと性格な数値がでます。
お顔の特徴としては、口を閉じようとすると下唇をかなり前に出さないと閉められないため、唇の下に梅干し状の筋肉の過緊張が認められます。
こちらの治療方法は成長期か、そうでないかという所で変わってきます。女子なら小学生以内、男子なら中学生以内であれば、適応か判断して下顎を前方成長を誘導するという方法をとる事もあります。高校生以降の方の場合は小さい顎に合わせて上の前歯を引っ込めるという上顎前歯唇側傾斜の場合と同じ方針を取ります。
出っ歯になった原因は?予防法は?
歯並びが悪くなる原因は、生まれる前から決まっている遺伝要素と、生まれてからの環境要素に分かれます。生まれる前の要素として、歯や顎の大きさなどはある程度は遺伝要素として決まっており、変える事はできません。一方、生まれてからの要素は、生活環境に気をつける事で修正する事ができる可能性があります。
ですが、私は臨床の現場では、遺伝要素の方が環境要素よりやや強いと感じます。例えば、口呼吸でも歯並びはキレイなお子さんがいる一方で、口を閉じるようトレーニングしているのに出っ歯になって歯が生えてきたというお子さんもいるます。「矯正治療をせず生活環境のみを改善する事で歯並びが良くなった」という事を、全く何もしなかった場合と比較して証明する事は不可能なため、出っ歯を予防する方法は今の所はないと言えます。