子供の出っ歯を治して鼻呼吸へ
小児用トレーナー装置プレオルソを使用する事で出っ歯を治すと、口が閉じやすくすくなり、口呼吸が改善します。
目次
口のまわりの筋肉機能のバランスは大切
お子さんの歯並びの3大悩みは「デコボコ・出っ歯・受け口」です。どれも見た目だけでなく、前歯で上手く噛み切れない事も問題になります。学校検診の歯並びの項目では主にこの3つを見ます。
これらの原因は先天的な骨格や歯の大きさだけでなく、お口のまわりの筋肉のバランスも関わっています。特に低位舌といって「舌で歯を押してる」状態や、口呼吸といって「常に口があいている」状態はお口のバランスを著しく崩してしまいます。この崩れた状態で前歯の永久歯が生えてくると、歯は本来生える位置とは異なる部位に生えてきてしまうわけです。歯は唇と舌の力の中間地点に生えてくるのです。
意外と見逃されている上顎前突症
「出っ歯」というのは専門用語で「上顎前突」と呼び、上の前歯と下の前歯の隙間が前後方向に6mm以上ある状態です。上顎前突には、前歯に目立つ乱杭いなどが少ない事も多く、検診でチェックが入っても保護者の方が何が問題なのか、気がつかない事も多いようです。しかし、機能的には前歯で噛めないため咀嚼能率が悪く、食事の際にチェックしてみると、食べるのが遅い事や硬い肉などが食べられない事などの症状があります。また、常に口が開いているため口呼吸により免疫力が低下します。男の子の場合、運動中に出ている前歯をぶつけてしまい折ってしまう事も多いです。
出っ歯は筋力のアンバランスで悪化する
出っ歯は見た目もよくありませんが、うまく上下の唇を合わせて口を閉じられません。口を閉じようとすると過緊張により下唇の下にシワができます。頑張って口を閉じ続けようとしても、出ている前歯が邪魔をして長くは続きません。そして、また口呼吸になりさらに前歯が出るという悪いスパイラルに陥ります。
断続的な強い圧力よりも、持続的なわずかな圧力の方が強力に歯を動かします。結局、矯正歯科治療も200gの持続的なわずかな圧力をかけているだけです。口唇の圧力も大体200gとかです。口呼吸で歯並びが悪くなるのも納得できます。
出っ歯の原因は遺伝的に下アゴのサイズが小さいという理由もありますが、口や舌の筋肉のアンバランスという生活習慣的な問題要素も持っています。次のような癖は出っ歯を引き起こします。
・上唇の力が弱く口が開いている
・会話時に舌が常に見え、舌で上の前歯を前に押している
・猫背で姿勢が悪くいつも口呼吸
・下唇をよく咬む癖が上の前歯が出る
子供の出っ歯の改善装置はプレオルソ
出っ歯については小学生低学年であれば、柔らかい素材のマウスピース型矯正装置であるプレオルソ がとても効果を発揮します。これは、岡山県の大塚淳先生が考案開発したとても優れた矯正装置です。私も直接指導を受けて2年ほど前から患者さんに使用してもらっております。小児矯正装置には他にも数え切れないほどありますが、第一選択はプレオルソになっております。
プレオルソはトレーニング装置なので最初は使用しているだけで疲れます。お口を閉じる筋力を鍛えたり、舌の位置を補正するからです。ですから、夜間使用が中心ですが、人によっては辛いと感じるお子さんもいらっしゃいます。ですが、適切な診断のもと正しいケースに使用すれば半年以内に出っ歯は改善します。
(骨格や歯の大きさのバランスの問題が強いお子さんは、一定の割合で非適応症の場合があります。)
上の前歯が後ろに引っ込むとまず実感するのが「口が閉じやすくなる」事です。そして、そこから、口を閉じる筋力をゆっくり鍛え、鼻呼吸の練習をしていきます。子供のモチベーションを考えても、「効果が早い」というのは非常に大事です。
<全てプレオルソを使用したケースです(平均使用期間9か月)>
口呼吸は百害あって一利なし
実際口呼吸してる動物は人間くらいなものでしょう(犬のハァハァは体温調節です)。口呼吸はお口の筋肉のバランスを崩し、歯並びも悪化します。鼻炎や扁桃腺の問題がある方は耳鼻咽喉科でしっかりコントロールする事が大切だと思います。お子様のアレルギー性鼻炎の放置はよくないと言えます。一度口呼吸する癖がついてしまうと、中々治りません。人間一度楽を覚えてしまうと、元の生活に戻すのは難しいですよね。
鼻呼吸は肺まで呼気が入るまでに様々なフィルターの抵抗があります。ですから、中々いっぱい空気を吸えませんので、急激な運動をした後は、わざと口呼吸をして酸素をいっぱい取り入れるのです。しかし、口呼吸はダイレクトに外気をまるごと吸い込みますので、フィルターなしです。慢性的に行うと免疫系がやられてしまいます。
なかなかそこまで手が回らない保護者様も多いのと思います。ですが、お子さんの将来の歯並びだけでなく健康まで関わってくる可能性がある口呼吸をチェックしてください。
<医院院では口呼吸の歯並びへの影響について説明します>
鼻呼吸本当にできていますか?
当院では最初に検査で呼吸方法もチェックします。普段うっすら口が開いている方は、実は口呼吸の可能性が高いです。
鼻呼吸は副交感神経系優位のゆっくりした呼吸法です。ですから、持久走などのスポーツやテストで集中したい時、ちょっと落ち着きたい時になどに有効な呼吸法です。また加湿した空気が吸えるので、冬の乾燥した空気で喉を痛める事もありません。
逆に口呼吸は大量に酸素が必要な時にする交感神経系優位の呼吸法です。基本的には、激しいスポーツの時くらいで実際使う事はないと言えます。当院では鼻呼吸にする事を推奨しています。ちなみに鼻呼吸とは「鼻で吸って口で吐く」事ではなく鼻で吸って鼻で吐く事です。お間違いなく!
あいうべ体操をしましょう!
「あいうべ体操」を行うと正しい鼻呼吸のやり方を学ぶ練習になります。体操の原理は今まであった口腔筋機能療法のトレーニングの中から、大事な部分だけを簡単にまとめている感じです。ですからとても取り入れやすいはずなのです。
あいうべ体操を行う事で、プレオルソも使用しやすくなり治療の失敗率が減らせます。どんな運動にも準備運動が必要なように、プレオルソ使用前にも準備運動が必要なのです。
ただし、これには親御さんの協力が絶対必要です!子供さんはたった3分程度の事でも面倒な事はやらなくなってしまいます。また親御さんもしっかり毎日監視するのも難しいところです。当院では指導の際、親御さんも「あいうべ体操」をやっていただいています。家族みんなでやっていただく事を推奨しています。