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マウスピース型矯正装置のアタッチメントが外れたらどうする?

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外※】のアタッチメントは外れたままでもすぐには問題なりません。必要性をみて次回来院時に再設置します。逆にアタッチメントが外れていないが、マウスピースから大きくズレてしまっている場合は早めに撤去する方が望ましいです。

※マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置は完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。

アタッチメント目的

<緑の部分がアタッチメント・右図は設置後>

マウスピース型矯正治療【インビザライン】にはアタッチメントという突起物をいくつか歯に設置する必要があります。アタッチメントを歯につける事で、表面積が増え、よりマウスピースの矯正力を歯に伝える事ができるようになります。
微調整を行う追加アライナーを作成する際は、必要のないアタッチメントを撤去したり再度良い位置に付け直したりします。原則、治療後にはアタッチメントは全部削って撤去します。
アタッチメントの形状には種類があります。オーソドックスな形は長方形型です。その他、歯の動き方によって楕円形型や三角形型、小さい涙状型などを使用します。アタッチメント以外にも顎間ゴムをかけるための小さなボタンを設置する事もあります。

アタッチメントの付け方

<アタッチメント設置前後>

アタッチメントは、マウスピース型矯正【インビザライン】治療開始時か1か月後のかちらかにまとめて全て設置します。虫歯を治す際に使用するものと同じレジンという歯と同じ色の材料を使用します。前処置をした後にあらかじめ用意されてあるテンプレートというマウスピースにレジンという樹脂材料を詰めて後、特殊な強い光を当て歯についた状態で硬化させます。

この時点でアタッチメントとの接着が悪い事もあります。これは、一般的なワイヤー矯正のブラケット装置の接着と同じで、矯正装置が付きづらいタイプがあるからです。主に以下3つパターンが挙げられます。

  • 噛む力が強い(食事時の強い力がかかる)
  • 矯正装置の接着面積が歯に少ない(歯の高さがない)
  • 歯磨きが良くない(歯の表面が弱い)

また、銀歯やセラミックの歯には特殊処理をしないとアタッチメントを装着させる事はできません。このような場合は、上手くアタッチメントがつかない事が多いため、設置しない方針にする事が多いです。

アタッチメントが外れてしまったら

もちろん、ていねいにつけても一定数アタッチメントが外れてしまう事もあります。主に、2つのパターンがあります。

  • 初期接着不良で1週間以内に外れる。
  • 治療経過後マウスピースの着脱で徐々に削れ取れる。

当院では、アタッチメントが外れてしまった場合、1か月以内に定期来院の予約がある場合は、そのままにしていただいています。次の予約が1か月以内であれば大きな歯の動きはないため、そのままにしておいても治療には大きな影響はないと考えているからです。
次回予約まで1か月以上ある場合は、医院に連絡をしていただきます。そして、医院側でシミュレーションから次回来院時までの歯の動きを確認します。その上で必要であれば、患者さんに来院していただき再設置をさせていただきます。
ボタンなどの顎間ゴムをかけるパーツが取れた場合は、必要性を確認して早めに付け直しに来ていただきます。

アタッチメントがズレてきたら早めに確認

マウスピース型矯正【インビザライン】治療中の患者さんにとっては、アタッチメントは非常に大事なパーツと考えている事が多く、マウスピースからズレたりしてくるだけで心配になってきます。
ですが、当院の考えとしては、「アタッチメントはあった方が良いが、なくても治療はできる」といった感じです。
ですから、治療シミュレーションと実際の歯の動きにズレが発生し、マウスピースとアタッチメントに隙間ができてきたとしても、多少であれば気にしません。
ですが、ズレているアタッチメントは来院時に確認して撤去をします。これは、ズレているアタッチメントを早めに撤去しておこないと、「圧下」といって歯が歯茎方向に沈んでいってしまう力がかかるからです。
そもそもアタッチメントが歯を動かすのではなく、マウスピース自体が歯を動かすのです。無理な治療計画は、どれだけアタッチメントを設置してもズレてきててしまいます。

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