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【リテーナー】取り外し式と固定式を徹底比較

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

固定式 取り外し式 リテーナー

リテーナーは取り外し式も固定式も、得意不得意ケースがあるので、併用する方が良いと考えます。

矯正治療後には保定といって、後戻りを予防するステージが必ずあります。そこで使用する装置がリテーナーですこのリテーナーには大きく分けて2つのパターンがあります。それは、取り外し式と固定式です。これは状況によって使い分けもしくは併用する事もあります。そこで、それぞれの特徴をお話しします。

取り外し式(可徹式)

矯正治療後はほぼ上の歯並びは取り外し式リテーナーを選択します。歯を表裏両方から抑えて、歯並びの後戻りを防ぎます。当院では治療後の最低6ヶ月程度はフルタイム使用を義務付けられています。ですからリテーナーをつけていると表面のワイヤーが見えます。一応、成人用に見えづらいクリアタイプのリテーナーもご用意しておりますが、こちらは耐久性がありませんので長く持ちません。

プレートタイプリテーナー
※プレートタイプリテーナー(院長個人のもの)

取り外し式の最大のポイントは、全ては患者さんにかかっているという事です。使用時間を守らなくては効果が薄れてきます。また、しっかり使用していても、前歯の微妙な段差などが出てくるなど、少しづつ歯並びが崩れる事もあります。

お手入れと紛失管理に気をつけなくてはなりません。紛失してしまうと、再作成に時間がかかるため、その間はリテーナーを使用できないため注意が必要になります。そして、様々な理由でリテーナーを使わなくなってしまい目に見えて歯並びが戻ってしまったところで、再度リテーナーを使い始めても歯並びは元の状態には戻らないところも重要です。リテーナーには歯を動かす機能はありません。

固定式

1番後戻りしやすいと言われている下の前歯を中心に、細いワイヤー(約0.5mm)を歯の裏面に接着剤でしっかりとめる方法です。世界基準で治療後2年間は外さない事が推奨されています。

フィックスリテーナー
<フィックスワイヤーといって前歯6本に接着>

固定式のポイントは、ワイヤーがついている限りは戻らないという事です。これには安心感があります。特に、「すきっ歯」や「歯のねじれ」はプレート型リテーナーだけで後戻りしないように抑えておく事は難しいと報告されおり、長期的にはリテーナーの使用をやめると元に戻ってしまいやすいと言えます。このようなパターンには固定式を設置する事が望ましいと言えます。

ただし注意点としては、

・舌で触った時違和感を感じる方もいる。
・ワイヤーが気がつかないうちに部分的に外れている事がある。
・下の前歯の場合、フロスが通せず歯石が溜まりやすい。
・上の前歯の場合、虫歯のリスクがやや上がる。
・抜歯症例や拡大症例の保定効果は少ない。

といった事からワイヤーがついている限りは定期的なメンテナンスが必要になります。

取り外し式のみの使用が多い

一般的には、医院側の管理と装着の煩わしさから、固定式は一部の特定ケースのみにして、取り外し式のみを採用している医院の方が多いと言えます。また、患者さんも矯正治療がせっかく終了したのに固定式リテーナーを長期間装着する事に抵抗を持っている方が多い事も理由です。

ですが、残念な事に、最初の6か月だけでも、フルタイムでリテーナーを使用してもらえない事が意外と多いのです。メンテナンスで来院していただくと、知らないうちに就寝時のみ使用に変わっていたりするものです。人を信じれるかどうかの話になりますが、当院は取り外し式と固定式の併用の方が望ましいとしています。

リテーナー
<一度やめてしまうと、使わなくなってしまう取り外し式>

取り外し式と固定式の併用がベター

当院ではどちらもメリットがありますから、基本的には取り外し式と固定式を併用しています。矯正治療が終了に向かう2ヶ月前くらいに、一度患者さんと相談して決める事となります。当院では前歯のデコボコが強い部分やスペースがあった部分には固定式リテーナーの装着を強く推奨しています。また、固定式が故障した場合の保険のためにも取り外し式リテーナーも使ってもらいます。そして2年後に固定式ワイヤーを外すかを相談します。

長い期間をかけて治療をしていますから、やはり自分の歯並びに保険はかけておいた方が良いと思います。取り外し式のリテーナーをずっと使っていく自信がない方は結構します。取り外し式と固定式リテーナーは、選択に迷ったらどちらも装着というのが良いのではないでしょうか。後戻りしてから、固定式を装着する事はできませんのから。

成人の裏側矯正治療を行った患者さんなどは全て使用の上下固定式ワイヤー+上下プレートタイプ(夜用)+上下クリアタイプ(昼用)なんていうフルセットの方もいらっしゃいます。

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