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歯が小さい【矮小歯】の矯正治療

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

矮小歯(わいしょうし・microdont)は、上の前歯によく見られる通常より小さく細い歯であり、矯正治療計画の策定を難しくします。

矮小歯とは

自分では、あまり気がつかない事が多いのですが、他の歯と比べて極端に小さく細い歯が歯列にある事です。主に上顎側切歯と呼ばれる上の前から2番目の歯に見られます。矮小歯は先天性欠如歯よりも頻度が多く、形も様々あります。

<上の前から2番目の歯>

小児の頃は保護者の方から、「乳歯が中々生え変わらない」といった相談を受け、審査してみると、既に生え替わりはおきており、永久歯が矮小歯だったというケースがあります。成人の場合は、前から見た時に、隣の犬歯が目立つため八重歯に見えるというのが気になって相談される方が多いです。

上顎第二小臼歯と呼ばれる上の前から5番目の歯や親知らずにも矮小歯は発生しますが、こちらはほとんどの方が気がつきません。また、下垂体性小児症候群やダウン症候群などのように顎の大きさのバランスの問題で相対的に歯列が小さく見えるケースもあります。

側切歯矮小歯の種類

今回は、上の側切歯に絞って説明しようと思います。矮小といっても程度は様々であり、少しサイズが小さいものから大きく形が異なるものまであります。日本人は全体的に側接歯はやや矮小の方が多いと言えます。さらに、以下に説明するような円錐歯・栓状歯がような形の場合は、歯が明らかに小さいため、審美的不調を患者さんが訴える事が多くなってきます。

<意外と軽度の矮小歯はいます>

 円錐歯

歯は正常の形態は逆三角形型をしています。これが根元から先端に行くに従って円錐のように細くなっていく場合を円錐歯(えんすいし)と呼びます。長さも短い傾向にあるため、前から見た時「すきっ歯」に見えたり、隣の犬歯が大きさのコントラストで目立ち「八重歯」に見えたりします。

円錐歯の審美的改善方法としては、理想的サイズのセラミック冠を上から被せる審美補綴治療というのが一般的になります。隣の歯や下の歯との間に、ある程度の隙間が必要であるため、事前に部分矯正治療が必要になる事があります。

<矯正治療後、円錐歯を補綴処置を行なった例>

矮小歯の審美改善方法には、上記のような大きい歯を被せる方法以外に、ダイレクトボンディングといって、歯と同じ色のレジン材料を接着させて、かさ増しする方法もあります。

栓状歯

通常の歯のよりやや細く、円柱状の形をしている歯を栓状歯(せんじょうし)と呼びます。横幅は狭いのですが、前後には厚みがあるため、下の歯並びと上手く咬合しない事がほとんどです。また、切端部の真ん中がくぼんでおり、虫歯にもなりやすいと言えます。

栓状歯の上下の咬合改善方法は矯正治療になりますが、あまり上手くは行きません。咬合調整といって歯の裏面を削って薄くする事もありますが、こちらも効果が期待できません。

<栓状歯を矯正後、形態調整を行なった例>

矯正治療の際に問題になる事は

上下の6前歯を審美的に、そして機能的に並べるには、実は大きさのバランスが大きく影響します。Tooth size ratio(トゥースサイズレイシオ)という上下の歯の横幅のバランスの基準値というものがあります。この値が理想値よりずれてくると、そのままでは矯正治療できれいに並べても、前歯を噛み合わせを作る事が難しくなります。

Tooth size ratioの計算方法
下6前歯の横幅の合計/上6前歯の横幅の合計 x100%
理想値78%

<矮小歯があると値が多くなる>

多くの場合は、矮小歯は上の歯並びに認められるます。そうすると、Tooth size ratioの値は大きくなります。この上下のバランスを調整するには、小さい矮小歯を大きくするだけではなく、逆に下の歯並びにストリッピングを行い、歯を少し横幅を小さくする事で合わせる事もあります。

また、矯正治療で動かすためには、ある程度の歯根の長さが必要です。矮小歯には、歯根も短い歯が存在する事があります。この場合は、前歯を大きく動かすような矯正治療を行う事は難しくなります。短い歯根の歯は動かす事が難しいため、矮小歯は抜歯して、空隙閉鎖を行う治療方針をとる事もあります。

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