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医院に行かずに自力で歯列矯正?【セルフ矯正の実情】

セルフ矯正・自力矯正

 

ここ数年世界ではもちろん、日本でもカスタムメイド型マウスピース矯正治療が多く普及してきました。アラインテクノロジー社やストローマン社だけではなく、すでに何十社と、この分野に参入してきています。それだけでなく、アメリカでは歯科医院を通さないマウスピース矯正配送サービスも出てきました。今回はこのような患者さんが自力で治す「セルフ矯正」について詳しく説明します。

 

 

なぜこのような事が起きているかと言うと、そこには理由があります。

それは・・・

 

「マウスピース型矯正治療は、矯正専門医でなくても行う事ができる」

 

というのが一番の理由になります。

 

 

 

 

矯正装置配送サービスの登場

今までアメリカでは、ワイヤー装置を中心とした矯正歯科治療は、専門医の独占業務でした。実際、専門領域を学ぶためには、大学を中心とした教育施設で最低3年以上の研修必要であり、そのコースを受けるための高倍率の試験もあり、とても狭き門でした。つまり、矯正治療は一部の研鑽を積んだ専門医にしか治療を扱う事ができない治療分野だったのです。

 

 

そこに、自動でシステマチックに治療計画を立案してくれるマウスピース型矯正システムが現れ、矯正治療が施術できる人を増やす事に成功したのです。もちろん治療結果は別です。アメリカは医療も自由競争社会であり、「常にマーケティングが優先される」という潮流があります。誰でも矯正治療を行えるようになる事は、マーケットも広がり患者さんにとって、大きなメリットと考えているわけです。

 

 

少し怖いところは、この「誰でも」というのは歯科医師だけを含みません。「医療関係者でなくても」という事です。

 

 

それまでは、「DIY矯正」といって、ホームセンターで買ってきたような工具や3Dプリンターを使って装置を作って、自分で歯の矯正治療をする方はいました。もちろん結果は思わしくはなかったようです。それが、「自力で歯列矯正を行う事を手伝ってくれるシステム」をもった会社が複数現れ、歯科医院を通さずマウスピース型矯正装置を患者さんに直接配送してくれるサービスが普及し始めたのです。患者さんは自分で治療を管理します。まさに自力矯正です。

 

 

<マウスピースを作るための歯型も自分で取る>

 

 

 

Smile Direct Club

米国で一番有名なセルフ矯正治療をサポートする会社はスマイルダイレクトクラブです。ウェブサイトを見ると矯正治療に成功した患者さんの笑顔の写真が多く載っています。

https://smiledirectclub.com/

 

 

治療のステップは、まず、ウェブサイト上で自分がこのシステムの対象者なのかという事のチェックをします。選択項目を入力していく事で30分程度で終わります。その後、アメリカとカナダにある近くのSmile shopという店舗に行き3Dスキャンを行うか、自宅に専用キットを送ってもらい自分で歯型を取るかして歯のデータを取ります。

 

 

この歯のデータを送ると、数日後に矯正治療後のシミュレーション画像がメールで送られてきます。これを確認し、承認するとマウスピース作成され自宅に郵送される仕組みです。全てのマウスピースを使用した後は、リテーナーも自分で発注する事ができます。オプションでホワイトニングの薬液も注文可能です。

 

 

価格はトータルで1850ドル(約20万)と歯科医院で矯正治療を行う1/5の費用でできるそうです。結局、安価というのが患者さんがSmile Direct clubを選ぶ一番の理由です。

 

 

同じようなサービスとしてCandidSnap Correctなどがあります。

 

<アメリカではコンビニで簡単に矯正治療を申し込めます>

 

 

 

自力で本当に治るのか?

ウェブサイトや症例を見る限り、かなり軽度な歯並びのみ対象といった感じの気がしました。まず、噛み合わせのチェックの記録を取らないため、出っ歯や受け口など上下の噛み合わせに問題があるケースは非適応と考えます。また、歯を動かす事ができるのは前歯だけであり奥歯は動かす事ができません。

 

 

要するに「部分矯正治療」に近い感じです。部分矯正治療はアメリカでは「Social6」と呼び、目立つ前歯の歯並びのみ整えます。どちらかと言うと医療というより美容になります。

 

 

<紫色になっているのが動かす部分。前歯の矯正しか対応していない>

 

 

通常の全体の歯並びを整える治療には、奥歯の移動も必要ですし、ストリッピング や抜歯も行います。これらの処置は医療機関の受診が必要です。要するに、複雑な歯並びにはセルフ矯正は、対応していないという事です。世界的に歯並びが悪いアジア人向けには、少し難しい気がします。

 

 

 

アメリカ矯正歯科学会でも問題視

AAOというアメリカで最も権威のある矯正歯科専門医団体も、歯科医師の診断とモニタリングがない矯正歯科治療を危険視しています。複雑な症状の歯並びには対応していないのですが、矯正装置配送サービスのウェブサイトにはそういった事は一切書いてありません。治療ではなく完全にビジネスなのです。

引用:https://www.aaoinfo.org/1/online-orthodontic-companies

 

 

<矯正装置配送サービスへの警鐘>

 

 

特に治療中に緊急事態があった際に相談する場所がないのも問題です。歯周病で歯が抜けそうな患者さんがセルフ矯正をして歯が抜けてしまったという事例があり、訴訟にもなっているそうです。

 

 

まだ、日本では対応していませんが、いつかはこの黒船がやってくる可能性はあります。ですが、自力で歯列矯正はかなりリスクがあります。やはり、矯正専門医院での治療が安心で、間違えがないと考えます。

 

 

インビザライン

 

 

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