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【詳細図示】部分矯正ができない例

出っ歯・3mm以上のスペース不足・過蓋咬合は部分矯正治療ができない例である事が多いと言えます。

また、部分矯正を取り扱っているかは担当する矯正歯科医師の哲学(考え方)で決まります。

 

 

 

全ての方が部分矯正適応ではない

 

 

 

見える場所に部分的ダメージが見え始めたら、実は他にも様々なところにダメージがある事がって多いものですね。まさに氷山の一角!あとで請求書みてビックリする車の車検とかと一緒かもしれません。同じ事が歯並びの治療にも言えます。

 

 

 

 部分的に歯並びが悪いというのほとんどない

部分矯正治療を希望される方は圧倒的に「上の前歯だけ」というのが多いです。一番、目に見える場所が上の前歯だからです。多少、下の前歯に段差があっても気になっておりません。

 

 

しかし、このようなケースは実際、相談に来ていただき、審査してみると様々な見えてなかった問題見えてくる事があります。そして、部分矯正治療ができない例となり、全体的な矯正治療が必要になってしまう事があります。

 

 

多くの患者さんは、見える上の歯並びだけを治したいと考えます。「私の症状なら全体ではなく部分矯正治療で治せるはず・・・」と、皆思いたいのです。部分矯正は、治療期間も、費用も、痛みも少ないわけですから。

 

 

ですが、残念な事に「噛み合わせは良く、上の前歯のみ歯並びが悪い」という人はほとんど存在しないのですつまりほとんどの方は「部分矯正ができない例」なのです。

 

 

見えない所にも歯並びの問題が

 

 

 

よくある部分矯正ができない3つの例

 

1.上の歯だけ部分矯正して出ている前歯を引っ込めたい

 

部分矯正で前歯を引っ込めたい

 

これは、一番良くある部分矯正の相談内容です。多くの患者さんは上の歯列のみの治療で治ると思っていることが多いです。ですが、せっかく期待して来られた患者さんには酷なのですが、「全体矯正が必要です」と伝えなくはなりません。

 

 

前歯を後ろに下げるには、アンカーといって引っ張るための固定源が必要です。主に前歯しか装置を装着しない部分矯正では対応しておりません。
特に「出っ歯」の方に上の前歯が出ているから、上のみの装置を装着して治療したいというパターンもありますが、通常はできません。「出っ歯」は上下の「かみ合わせ」の問題も混在しているからです。かみ合わせに問題があるという事は上下の歯に矯正装置をつけなくてはなりません。ですから、「出っ歯」も治したい場合は上下顎本格矯正です。

 

 

どうしても部分矯正を希望の場合は前歯のデコボコを揃える事は可能ですが、抜歯や遠心移動といったスペース作りができないため、前歯を引っ込める事ができません。出ている方の前歯に合わせて後ろにある歯を揃えるイメージです。それでは治療の意味がないですよね?

 

 

 

2.前歯のスペース不足が3mm以上を超えている

 

 

目に見える上の前歯の段差だけを治したい方は多いのですが、段差を取るには歯を並べるスペースが必要です。部分矯正でのスペースの作り方はIPR(ストリッピング)といって、歯にヤスリをかけて隙間をかき集める方法になります。

 

 

前歯のIPRを積極的に行って得られるスペースはせいぜい3mmが限界です。それ以上を超えたスペース不足は、歯列拡大や小臼歯抜歯が必要になってくるため上下顎全体矯正になります。

 

 

 

目安としては、前から見て2番目の歯が半分くらい隠れている場合は、スペース不足が3mmを超えている可能性が高いと言えます。結局こういったケースは、八重歯クロスバイトといった噛み合わせに問題がある状態になっている事が多いと言えます。

 

 

 

3.深噛みといって、噛むと下の歯が見えない方の部分矯正

 

部分矯正で過蓋咬合を治したい

 

あまり聞きなれない悪い歯並びの種類ですが、「過蓋咬合」といって下の前歯が上の前歯の根元を噛んでいる噛み合わせです。これは、部分矯正治療にて上の歯並びを治したとしても、後戻りの防止用の細いワイヤーリテーナーを歯の後ろに装着できないため、治療の予後が非常に悪いです。このようなケースも上下顎全体矯正にて前歯のかみ合わせを治す必要があります。

 

 

 

 

 

上の3つのパターンに当てはまらない方は部分矯正治療で大きな効果を得る事ができますが、ごく少数になります。またマウスピース型矯正治療装置のインビザラインなど場合は、全ての歯を覆って歯を動かしますから、基本的には部分矯正治療というパターンはなくなります。軽度の後戻りなどのケースに関してはインビザラインライトなどのプランをご利用下さい。

 

▶︎部分矯正の実際の症例

 

 

 

全体矯正をしないのは期間か費用の問題

部分矯正は大体6カ月程度で、費用も半分程度で収まります。部分矯正希望の患者さんの多くはこの二つのどちらかがネックになっている事が多いです。でも、全体矯正症例を無理して部分矯正で行ったけど、やっぱり思った結果が得られなかった時ほど悲しい事はありません。部分矯正ができない例なのか不安になりながら治療を進めるくらいなら全体矯正治療を最初から始めた方良いと思います。

 

 

全体矯正は平均2年程度かかります。(詳しくは…)治療期間が問題の場合は、歯の動かし方の順番を変え、なるべく見える前歯を先に並べてしまうプランにしたり、費用が問題の場合はデンタルローン(詳しくは…)などを併用する事で負担を軽減できます。また、部分矯正治療契約で進み、途中で全体矯正治療にアップグレードする事も可能です。

 

 

部分矯正は「いいとこ取りの矯正治療」というわけではありません。よく検討してから行いましょう。

 

 

 

部分矯正 行わない

 

国民の歯並びに対する意識は年々上がっています。その中で軽度症例の治療の需要も高くなり部分矯正を取り扱う医院も増えてきています。症例は可能であっても、部分矯正は取り扱っていない歯科医院も多くありますが、これには理由があります。この基準について、「症例の内容」ではなく「医院側の考え」という点から説明をします。

 

 

 

部分矯正を行う患者さんのパターン

2パターンに分かれます。

 

 

1)1部分の歯並び以外ほとんど問題がない純粋な部分矯正適応症例

この場合は矯正歯科医側から部分矯正を提案します。ですが、ケース数としてはほとんどありません。なぜなら、患者さんも歯並びの悪さが軽度のため、あまり気にしておらず矯正歯科治療を受けようと考えないからです。

 

 

2)患者さんが1部分のみの歯並びの改善を希望する場合

多くはこちらのパターンです。これは患者さんが治療期間・装置装着・治療費用の問題で部分矯正治療を希望します。この場合、矯正歯科医は治療を引き受けるか、医院によって異なります。私もいつも迷ってしまいます。

 

 

 

なぜ積極的に部分矯正を引き受けたくないのか

矯正歯科治療の最終目的は「綺麗な歯並び」と「緊密な噛み合わせ」です。学会や研究会の症例審査もこの2点をしっかりチェックされます。そもそも矯正歯科医というのは研修期間の頃から、全ての歯を理想的な位置に動かして、治療を完了させる事を教育されているからです。

 

 

これは学会の専門医試験の症例カテゴリーに、小児矯正や外科的矯正まで様々ありますが、部分矯正というカテゴリーはないという事からも明らかです。ですから、部分矯正治療というのは、矯正歯科を専門にしている歯科医師からみると、妥協した治療という事になるのです。治療への哲学のこだわりが強い歯科医師の場合は推奨しないだけでなく、全く引き受けない場合もあります。

 

 

※部分矯正でも全体矯正と同じ分析を行います。

 

 

 

部分矯正を引き受ける理由

部分矯正治療は「緊密な噛み合わせ」は作れません。難しいところですが、患者さんの矯正歯科治療は受ける目的は審美的改善目的がほとんどです。噛み合わせの改善を主目的とする方は多くはありません。やはり矯正歯科治療が美容医療に近い所がある事は否定はできません。(詳しくは…)

 

 

「なぜ見た目を改善したいか」というと、少なからず心理的にダメージを負っているからです。心理的ダメージのみの改善には部分矯正は有効である事もあります。

 

 

 

 

現代人には、歯科治療を受ける事以外にも、考えなくてはいけない事が山ほどあります。そこで、2年間矯正治療にエネルギーを注ぐのは大変な事です。もちろん適応症もありますが、矯正歯科治療が医院側のエゴにならないよう患者さんとすり合わせた中で部分矯正という選択になる場合は、ベターな結果が生まれると信じて、全ての症例ではないのですが、当院では部分矯正治療を引き受けています。

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