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グラグラの乳歯は抜いた方が良いの?

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

グラグラの乳歯は下から生えてきている永久歯との関係で早めに抜いた方が良い場合があります。

1期矯正治療は永久歯列期になるまでしばらく間、矯正治療はお休みになります。側方歯群といって、犬歯〜小臼歯までの3本が上下左右で計12本生え変わります。通院も3か月に1回程度になるのですが、この期間でよくお電話で多いお問い合わせは、「グラグラの乳歯は抜いた方が良いか?」です。

基本的には自然に抜けるのを待つでOK

乳歯の下の永久歯の種に根の部分ができ始めると、乳歯の根を溶かす破歯細胞が現れ、乳歯の根は少しづつ溶けていきます。根の部分が2/3以上なくなる動揺といってグラグラ揺れ始めます。これが、3か月くらい続いた後にいよいよ歯茎の下から永久歯が見えてきたかという所で、何かの反動でポロって抜けます。多くはパンな柔らかくて弾力性のある食べ物を食べた時に抜けます。

見た目に問題がある場合や噛んだ時に痛みが出て食事ができないようであれば歯科医院にいって抜歯しても良いが、痛みがない場合はそのまま自然に抜けるのを待っても良いと考えます。抜歯する場合は麻酔が必要になりますので、お子さんの心理的な抵抗もあります。可能であればそのまま待ちましょう。ただし、生えてきた永久歯が乳歯の高さを超えてしまった場合は抜歯した方が歯磨きなどの面を考えて望ましいと考えます。

<乳歯の永久歯への生え変わり>
<乳歯の永久歯への生え変わり>

下から生えてきた歯に位置異常がある場合は抜歯

乳歯に動揺があってもなくても、下の永久歯の頭の部分が顔を出している場合は、生えてきている位置の確認が必要です。乳歯の前後左右の歯茎から出てきそうな場合は、永久歯が歯列から逸脱しているため、自然に乳歯は抜けません。この場合は、あきらめて抜歯をしましょう。位置異常の多くのパターンは通常より内側から生えてきます。そのまま、永久歯が生えているのに乳歯が残り続けると、クロスバイトなどの不正咬合を引き起こす可能性があります。

虫歯の治療済み乳歯は要注意

虫歯治療を行なった乳歯の場合は注意が必要です。一つは、治した虫歯が再発してしまい根元が膿んでしまっている事があります。この膿が溜まると下から生える予定の永久歯の位置異常や形成不全などの問題を引き起こす可能性があります。治療は、排膿といって乳歯の頭の部分を開き膿を出し、薬を入れます。ただし、乳歯のまわりの歯茎が繰り返し腫れる場合は、永久歯の事を考え抜歯が望ましいと言えます。

二つ目は、銀歯や白い詰め物などで大きく虫歯を治療した経験のある乳歯は、詰め物部分が自然に溶けないため、下から永久歯が生えてきても、自然に溶けずに残ってしまう傾向に事があります。。この場合は後から生えてくる永久歯が生える邪魔になったり、部分的に歯片が残ったりしてしまう事があありますので、適切な時期に抜歯を推奨します。

抜いた方が良い乳歯
<治した歯が膿んでおり下の永久歯に影響が出ている>

横から歯が生えてきたけど大丈夫か?

奥歯は乳歯より永久歯の方が幅が大きいため、普通に生えてきても、横から生えてきている様に感じます。しかし、多くの場合は、特に問題はありません。実際、真横に生えてくる事はあまりありませんので、少し待つと普通の歯並びの位置にきます。

また下の永久歯のサイズが大きかったり、本来生えてくる場所と異なる事で、本来抜ける予定ではない乳歯も押し出してしまい動揺する事があります。この場合は、自然に抜けてしまう事が多いのです。ただし、抜けたスペースに本来生えてくる予定の永久歯はしばらく生えてきません。場合によって保隙という処置や矯正治療が必要になる事があります。

抜かなくても良いパターン
<積極的に乳歯を抜かなくても良いパターン>

時期が来ても動揺がない場合はレントゲン撮影が必要

歯の生え変わりのスピードには個人差がかなりありますので、全体的な速度はあまり気にしなくても良いのです。早いから遅いから問題であるという事はいっさいありません。ただし部分的に生え変わりが遅い時には注意が必要です。例えば、右が抜けて半年経っても左が抜けないというような場合は何か問題がある可能性があります。通常は左右で6か月以上、生え変わりの速度差がある事はないのです。

<パノラマ撮影は永久歯の生え方の問題を早期発見>

永久歯が埋伏といって位置異常や自力生える力がなく骨の中に埋まったままの状態であったり、先天性欠如といって永久歯の種自体がそもそもない場合があります。ごく稀に過剰歯や石灰化物などの障害物によって生えられない事もあります。これらの問題はパノラマ写真というレントゲン撮影を行う事で早期発見する事ができます。

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