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【豆知識】ブラケット装置には2つの規格がある

列車のレールには主に2つの幅があるように、矯正治療で使用するブラケットのスロットと呼ばれるワイヤーを通すレールにも0.018インチと0.028インチと2つのサイズがあります。今回は、そんな専門的な豆知識を説明していきます。

 

 

 

 

 

 

2つのブラケット規格

0.018 インチ(オーワンエイト)のスロットの幅は約0.45mm、0.022インチ(オーツーツー)は0.55mmです。たった0.1mmほどスロットの長さが違うだけですが、使用するワイヤーの規格が全部異なってきます。当院は0.022インチのみを使用しています。

 

.018と.022ブラケット

<微妙に違う2つのスロットサイズ>

 

 

0.018 inch

.018は細いワイヤーが中心になります。矯正力は弱く日常の噛む力も利用した矯正治療ができます。ですから治療前の噛み合わせが崩れにくく、個々の咬合力に合わせた自然な噛み合わせが作りやすいです。

 

 

ただし、ワイヤーが細いという事は非常に歯のコントロールが難しくなります。毎回細かなワイヤーの調整が必要になり、少し熟練者向けの矯正装置になります。抜歯空隙などを閉じる際はループと呼ばれる独特の形をしたバネワイヤーを使用します。毎回調整した分しか歯は動きませんから、患者さんの通院状況が治療期間に直接影響しやすいです。

 

 

また、1本のワイヤーのみで治療を終えられない事があり、様々な予備装置が必要になる事があります。一部の噛む力が強いケースには、矯正力が負けてしまい歯を動かしづらく、ワイヤーを二重に重ねて使用したり、歯並びの拡大などには内側にクワドヘリックスやリンガルアーチのような固定式の拡大装置が必要になります。

 

 

 

 

 

0.022 inch

.022は.018と比較してワイヤーが20%程度太くなります。硬く頑丈なワイヤーを使用できるという事になりますので、より思い通りに歯を動かす事ができます。こちらアーチフォームと呼ばれる歯並びの形を整える事が得意となります。

 

 

太いワイヤーは細かい調整ができませんので、動かしたくない歯も動いてしまうという欠点も持っています。ですから一度全ての噛み合わせは崩して、再構築するような治療になります。抜歯空隙を閉じる際はスライディングといって、パワーチェーンなどの力でワイヤーをスロットの上を滑らして行なっていくため、効率良く歯を動かすためには摩擦係数が重要になります。ですから、摩擦が少ないセルフライゲーションと言うクリップで歯を抑えるタイプもよく使用されます。また、ワイヤーが硬い分、力も強くかかりやすいため矯正装置の故障も.018よりやや多めです。

 

 

細かい調整をしたい場合は柔らかいワイヤーを使用したり、矯正装置を付け替えたりと、治療終盤の微調整がやや苦手です。初回のブラケットの設置がかなり重要になってくると言えます。ですから、インダイレクトボンディングといって、先に模型上などでポジションを細かく決定してから、患者さんに装置装着をする事が多いと言えます。.022は術者によらず治療結果は比較的一定になりやすいです。従業員数の多いシステム化された大規模矯正歯科医院で採用されている傾向にあります。

 

 

 

 

 

使い分けはあるのか?

症例によってこの2つの規格を使い分けている医院もありますが、材料の管理が煩雑になるため多くの医院はどちらかを決めて使用しています。日本国内ではほぼ同じ割合です。

 

 

出身医局の教育や従事した指導者によって、.018と.022どちらをメインで使用するか分かれます。新しい歯科医院は.022を使用する事が多くなってきましが、どちらが良いというのは特にないです。利点・欠点をしっかり把握して使用すれば同じように治療結果が出ると言えます。

 

 

転居などでワイヤー矯正治療を転院する際には注意が必要です。規格が異なり使用できない事があります。その場合は、矯正装置の撤去・再装着が必要になります。

 

 

ちなみに、裏側矯正装置の場合は.018しかありません。これは歯並びの内側は操作領域が狭く、太く硬いワイヤーは治療に向いていないからです。という事は、裏側矯正装置は必然的に熟練者しか治療を行う事ができないというわけです。

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