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小児矯正を契約する際は慎重に

■日本矯正歯科学会専門医 牧野正志

小児矯正の契約は慎重に考えましょう

小児矯正治療は契約が複雑でありお子さんと保護者にも、大きな負担がかかる事があります。それは、「1期治療を契約すると同時に2期治療も同じ医院で行わなくてはならないという制約を受ける」からです。

 

 

 

 

小児矯正治療は長い

乳歯が残っており永久歯に生え変わっていない状態を混合歯列期と呼びます。患者さんが欲しいのは永久歯のキレイな歯並びです。ですから乳歯をいくら並べても治療は終わりません。永久歯に生え変わる年齢は決まっていますから、ゴール地点は12歳前後になります。そして、その後に永久歯列をきちんと整えるために2期治療と呼ばれる全体的な歯並びの矯正治療を1年半〜2年程度行う事になります。7歳くらいから初めて14歳まで約7年間も通院という事もあります。

 

 

さらに費用は、「2期治療費は大人の矯正治療費から1期治療費分を引いた差額」とほとんどの歯科医院で決まっています。ですが、これは1期治療を自分の医院で受けた場合のみ2期治療を割引で受けられるサービスです。治療途中で転居があったり、矯正歯科医と相性が合わなくなったりで、2期治療を転院する場合は、治療費の今までの一期治療費との相殺はありません。もちろん矯正装置も変更になる事が多いと言えます。

 

 

 

矯正治療は短い方が良い

「子供の矯正歯科治療はできるだけ早くから始めた方が良い」という考え方もあるのですが、私は子供の矯正歯科治療はできるだけ早く負担なく終わった方が良いという考え方です。1期治療からの長い管理になり負担がかかります。そのため、早期からスタートせず戦略的に永久歯列になる12歳程度まで待機という事を頻繁に行います。結局、お子さんも保護者様も歯科医師も治療期間は短かくしたいのは共通の願いだからです。治療期間という内容以外で3者一致する共通項目はありません。

 

 

全てのお子さんが1期治療のみで終わるという事はありません。1期治療で終了できるパターンは限られたパターンになります。2期治療がどれくらいの可能性が必要か担当医によく相談が必要です。それを聞いた上で、1期から小児矯正を始めるかを考えた方が良いと言えます。時間も費用も両方かかってしまっては、せっかくの矯正歯科治療も家族の苦労の記憶だけが残ってしまいます。

小児矯正だけで終われるケースの特徴とは…▶︎

 

 

すぐ始めなくてはならない例は実は少ない

よく、「今始めないと後で大変な事になる」というような内容を聞いて、相談に来られる方もいます。もちろん、前歯の歯茎にダメージは加わるクロスバイトなど小児矯正治療からスタートした方が良い例も一部あります。ただし、多くの歯並びのでこぼこ(叢生)や出っ歯(上顎前突)といった歯並びは、後で永久歯列が完成した後からでも矯正歯科治療は可能です。小学生低学年で治療をしないと、後で治せなくなるなんている事はありません。

 

 

小児矯正は意味がない訳ではありませんが、全てのケースに有効という訳でもありません。検査時それを判断する事ができる事もありますが、わからない事もやはりあります。ですから、ある程度効果がない可能性も理解して始めなくてはならないのです。

参照)日本歯科矯正専門医学会のガイドライン

 

 

また、一度、小児矯正治療を契約すると、同じ医院で長く矯正歯科治療をするという制約を受ける事になります。矯正専門医院ではなく、非常勤の歯科医師が来ている場合は、その医院がいつか矯正歯科治療部門をやめてしまうかもしれません。様々なリスクをよく考えた上で、治療は開始しましょう。

 

 

 

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