いざ開始!ハーフリンガル矯正治療流れ
表側矯正もハーフリンガルも同じワイヤー矯正ですが治療へのステップは異なります。ハーフリンガルには特別なステップがあります。
表側矯正治療と異なり治療のステップがわかりづらいハーフリンガル矯正についてどのようにして治療を進めていくかについて具体的に説明していきます。わかりやすいように上下顎小臼歯抜歯を併用した叢生症例を例に挙げたいと思います。
歯列データから装置作成へ
診断契約後はまず、オーラルスキャナーで歯の精密なデータを取ります。以前はシリコンの気持ち悪い歯型の材料を使用していたのですが、スキャナーの登場でデータ取りは楽になりました。これを提携の歯科技工所にデータで送り、裏側矯正装置を作成するためのセットアップというシュミレーション模型作成を行ってもらいます。裏側装置の位置決めを打ち合わせながら行い、約2か月後に矯正装置ができあがります。
また、同時に抜歯のオーダーも出します。上下顎小臼歯抜歯の場合は、1、2週間ごとに1本づつ減らしていくと大体、2か月弱かかります。口腔外科を得意としている医院の場合は片側づつ上下と2本づつ減らしてくれる場合もあります。希望があればポンティックと呼ばれるダミーの歯を抜歯スペースに装着したりもします。
下から先にワイヤー装置装着
ハーフリンガルの下の歯並びは、歯科医師が表側矯正装置を一つ一つ目でみて直接口の中で位置決めします。これにより上の抜歯が終わっていなくても、下の抜歯が終わり次第すぐに設置ができるというわけです。
続いて上の裏側装置を装着していくのですが、いきなり裏側装置を装着するわけではありません。歯の裏側というのは装置装着の面積が狭いため、歯と歯が重なっていたりする事で、矯正装具をすぐつけられない部分もあります。こういった部分にはリンガルボタンという小型の装置を装着しゴムで歯を引っ張り、装置装着スペースを確保します。前歯を後に大きく後ろに引っ込める必要がある場合は局所麻酔を行い歯科矯正用アンカースクリューを設置する事もあります。
上の裏側装置を装着
ある程度、抜歯スペースに歯並びが並んだところで、いよいよ上に裏側矯正装置を装着します。その際、前歯の噛みこみ深く下の前歯が、装着した上の矯正装置にぶつかる場合は「ダイレクトトラック」と呼ぶ奥歯の噛む面にレジンという仮歯の材料を設置し上下の前歯がわざとぶつからないようにします。奥歯が高くなり、前歯が噛まなくなるのですが、若干慣れるまで時間がかかります。
その後は一緒
少しづつ上下のワイヤーを太いものに変えていき、剛性が強いステンレスの硬いワイヤーが入ったところで、抜歯スペースの閉鎖を開始します。この後は表側矯正治療の流れと同じになります。だいたいここまでに8か月くらいかかります。