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マウスピース型矯正装置とワイヤー併用

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

リカバリーの方法がサミットのテーマの1つ

マウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法適応外】のリカバリーには、やはりワイヤー型装置が必要です。

先日のシンガポールで行われたAPACインビザラインサミットに参加して、世界的に矯正歯科治療がマウスピース矯正装置が中心になるのではないかとさえ感じました。アジアのマウスピース矯正インビザラインの症例数の増加は、ここ数年はすごい勢いのようです。

サミットではオーストラリアの先生が症例数の多さで表彰されていました。アジア地区のマウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外使用】の症例数の増加のハードルの一つに、アジア人独特の症例の難しさが挙げられます。中国の大学教授の講演では、「欧米人と比較してアジア人は、顎骨に奥行きがなく歯並びのスペース不足量が多く、著しく前歯の前突がある事が症例を難しくしている」と話していました。つまり、アジア人の歯列矯正はとても難しいのです。それぞれカスタマイズが必要になります。アラインテクノロジー社のCEOも、だからこそ日本を含めたアジアの治療から、さらなるインビザラインの発展が生まれるとも話していました。という事で、今回は、ワイヤー装置のリカバリーアンカースクリューの可能性について説明します。

リカバリーワイヤーの使用時期

残念ながら、現在インビザライン単独で全ての症例を完璧に治療する事は不可能です。一定数の割合で従来型のワイヤー装置の併用が必要になってきます。これをリカバリーワイヤーと言います。

以前は抜歯を併用するケースは、先にワイヤー装置で少しスペースを閉じてからインビザライン治療に入っていましたが、今は、「どうせ後でワイヤー装置を使用する可能性があるのであれば、最初からマウスピースでスタートした方が患者さんにとっても良いのではないか」と感じるようになり行わなくなりました。よって、カリエールモーションやポーター型拡大装置などをマウスピースの前に先行して使用する事はなくなりました。

以前ワイヤー装置→マウスピース→リカバリーワイヤー
現在:マウスピース→リカバリーワイヤー→マウスピースに戻る

リカバリーワイヤーの方法は様々ありますが、セクショナルワイヤーといって部分的に奥歯にブラケット装置を装着するパターンが一般的です。マウスピースが抜歯スペースでたわんでしまいうまく合わなくなり、奥歯の歯並びが崩れ噛めなくなる状態(ボーイングエフェクト)や、捻転(ローテション)といって小臼歯の捻れが治しきれない場合などに半年程度使用します。

<小臼歯の捻れが取りきれずアンフィットになった際のリカバリー>
<小臼歯の捻れが取りきれずアンフィットになった際のリカバリー>

歯科矯正用アンカースクリューで代替する

できるだけマウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外】単独で治療を完了するためには、マウスピース治療の苦手な動きである「前歯の圧下」や、抜歯治療の際の奥歯の倒れこみ防止に対処していかなくてはなりません。そこで、活躍するのがアンカースクリューになります。

通常の顎間エラスティックと異なり、自由な場所に設置できるアンカースクリューには歯の移動方向の制限が少なく、様々な方向に歯を引く事ができます。アライナーと併用しずらいリカバリーワイヤーと異なりマウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外】と併用できる点も良い点です。当院では上の前歯と下の奥歯に設置する事が多いです。

<奥歯の歯茎にあるボタンがアンカースクリュー>
<奥歯の歯茎にあるボタンがアンカースクリュー>

今後も、世界のマウスピース型矯正装置【インビザライン・薬機法対象外】の情報スピードについていけるよう研鑽を積んでいこうと思います。

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