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【副作用】矯正治療による歯根吸収

矯正治療による歯根吸収

矯正治療ではわずかに歯根が短くなる事があり、一部の方はレントゲンでも明らかになります。

歯の根っこが短くなる歯根吸収

 矯正治療自体への影響は少ないのですが、頻度が高いリスクとしてあげられるのが「歯根吸収」がああげられます。これは骨に埋まっている歯の根っこの部分(歯根)が、矯正治療により吸収して溶けていってしまう現象です。歯根吸収は矯正治療で定期的に撮影するレントゲン写真を比較することで判明します。

矯正歯科治療・治療後・歯根吸収・レントゲン

図:治療後にレントゲンで歯根吸収が判明したケース。
歯根の先が斜状に少し短くなっています。

歯根が溶けるメカニズム

 矯正装置により歯に力を加えると歯の動きとともに歯根も移動します。歯根は歯槽骨と呼ばれるあご骨の中にあり、歯根が移動する方向の骨が溶けて歯根が動き、反対側には骨が作られるます。この反応が繰り返されることで組織の改造とともに歯が移動します。このメカニズムは、歯のまわりにある血管の膜である「歯根膜」の中にいる「破骨細胞」がまわりの骨を溶かす作業から始まります。

歯根吸収のメカニズム

 ですが、この破骨細胞は、時に骨だけでなく移動側の歯根も溶かしてしまうことがあります。ほんとんどのケースで吸収量は多くはないのですが、歯根の先端が短くなるという症状がみられます。

歯根吸収のメカニズム

歯根吸収が起きる確率

 基本的には歯根吸収は、全ての治療患者さんに多かれ少なかれ必ず起きていますですが、レントゲン写真を見てもほとんどわからないレベルしか起きませんので気がつきません。レントゲン写真を見て歯根吸収が明らかにわかるのは歯根が1/3ほど短くなった場合です。当院の臨床経験上、レントゲンでわかるレベルの発生率としては矯正治療患者さんの5%程度と感じています。発生しやすい場所としては上の前歯が一番起こりやすいと報告されています。次が、下の前歯と6歳臼歯になります。

 歯根吸収が発生するリスクが高いケースは以下の3つが考えられます。

  1. トルクや圧下など歯根の先の移動量が大きい治療計画
  2. 強い矯正力や歯を揺さぶるような矯正力
  3. 歯根の形態が鋭利で細い
歯根吸収のリスク


 歯根のもともとの形態や治療による移動量が関係しているという報告が多いです。まず、圧下やトルクといった移動様式の場合、歯根を骨の中で大きく歯を動かさなくてはならないため、それだけ吸収する力がかかりやすいようです。また、歯が揺さぶられるような力がかかる時も歯根吸収が発生するようです。細長い形態の歯根の場合は少しの吸収でも形が変わってしまうため、レントゲン写真で発見しやすいという事があります。そして、まだ、詳細には明らかにはなっていませんが、研究では遺伝子も関係しているという報告もあります。

矯正治療以外の歯根吸収

●親知らずが横に生え歯根吸収が起きている

 矯正治療による歯の移動によって起こる歯根吸収以外にも、あご骨の中にある永久歯が生えようと移動する事によっても起こる事があります。これは、骨の中の歯には「歯嚢」といって、まわりが膜に覆われています。この膜の中に歯骨細胞が存在しており、歯が生える方向に向かって骨や、上にある乳歯を溶かしていきます。この歯の生える向きが、正常方向と異なっていた場合は、誤って既に生えている永久歯の歯根を溶かしていく事もあるのです。上の犬歯や親知らずが生える時によく起きます。
 外傷を受けた歯や、移植した歯は歯根膜に損傷をうけています。その治癒過程で、外部吸収といって歯根吸収が発生します。

歯根吸収の対処法

歯根吸収はレントゲンで確認
●デンタル写真という撮影方法で確認ができます

 では、歯根吸収が強く起きてしまった場合は、その後どうなるかというところですが、答えはすぐに治療が必要になるほどの問題にはならない」です。そのまま、短くなり続ける事はなく、治療後に吸収が止まる事がほとんどです。その後は、ゆっくりと残った歯根の鋭利な部分が吸収され落ち着きます。

 結局、歯根が短くなってしまっても、その後の口腔ケアを怠り歯周病になってしまい歯槽骨を早めに失ってしまうという事などがない限り、「歯の持ち」に関しては変わりません。当院では、治療開始から1年後程度にレントゲンを必ず撮影し、治療経過を確認しています。強い歯根吸収像がある場合は、治療方針を再検討する事もあります。

 また、短根歯と呼ばれる歯根がもともと短いケースの場合には、最初から歯根に負担がかかりづらい治療方針を選ぶ事になります。

▶︎短根歯の治療方針についての論文(原著:牧野正志)

 【記事執筆者の略歴】
牧野 正志
徳島大学歯学部卒業 (2006)
東京歯科大学 歯科矯正学講座 研修課程修了 (2010)
まきの歯列矯正クリニック開設 (2012)
日本矯正歯科学会 認定医・臨床医

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