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【簡単】ガムを使った舌の筋機能訓練

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

ガムは虫歯予防だけでなく、口の周りの筋機能訓練の効果もあります。

私が学生のころは、勉強する時は常にガムを噛んでいましたが、最近ではガムを噛む人は大分減ってきているようですね。「ガムを噛み続けるのが面倒くさい」という理由のようです。この話を聞くと、本当に現代では柔らかく食べやすいものが増え、「よく噛む」という動作が減ってきたのだなと思います。「口の中で溶ける」みたいなお菓子の方が好まれているようです。

キシリトールガム
<販売量が減っているガム>

ガムを噛んでトレーニング

嫌煙されがちなガムも、噛む事によるメリットもたくさんあります。まずは、キシリトールが含まれており、ある程度虫歯予防にもなります。キシリトールは虫歯菌であるミュータンス菌の活動を抑えてくれるだけでなく、唾液を増やし歯の再石灰化も促してくれます。

さらに噛み方を工夫する事で、2つの利点があります。せっかくなのでガムを「噛み方のトレーニング」のために利用してみてはいがでしょうか?それではその2つのトレーニングを説明します。

ガムを噛む事が口呼吸予防

口呼吸は歯並びだけでなく全身の健康まで悪影響を及ぼしています。今お子さんの半分以上は口呼吸です。ガムを噛む時はしっかりお口を閉じて鼻で呼吸しましょう。味がなくなるまでの5分でも鼻呼吸の良い練習です。「くちゃくちゃ」音が出る方は口呼吸傾向ですこれは呼吸的にも・マナー的にもNGです。しっかり口を閉じてガム噛む事で口の筋肉も鍛える事ができます。

くちゃくちゃガムを噛む
<口が開いていると音がする>

片噛み予防

ヒトは利き手の方が食事がしやすいです。これが行き過ぎると片咀嚼といって、顎の発達が左右で異なってきます。左右のバランスというのは健康に大切です。いつも噛んでいない方で噛みましょう。

ガム・両側噛み
<口が開いていると音がする>

調査ではヒトの顎は左に曲がっている事が多いようです。そうすると上下の歯の正中線がズレてきます。実際、私は右利きの人間が多いから、右の方が強く発達したのでは?というのも、下アゴが左にズレている原因の一つと思っています。ガムは、自分の噛み方を確認する良い道具でもあります。是非チェックしてみて下さい。

筋機能訓練も可能

歯並びが悪くなる原因には、歯の内外から圧力のバランスが崩れている事があげられます具体的には内からは舌を出そうとする圧力外からは口を閉じる圧力です。低位舌で前歯を押していたり、常に口が開いていて口呼吸の方は歯並びは悪い方向に向かっていると考えてください。このバランスをよくするトレーニングとして市販のガムを噛んでもらうガムトレーニングという練習がありますのでご紹介します。このトレーニングは毎日時間を決めて継続して行う事が大切です。キシリトールガムを噛めば、虫歯予防もできるため一石二鳥です。タブレットガムの場合は1回2粒くらいが良いサイズです。

①必ず口を閉じて噛む
まずはガムが柔らかくなり味がなくなるまで、お口を閉じて噛み続けましょう。鼻呼吸をしながら噛む事が大切です。お口が開いていると「クチャクチャ」音がします。また、片側噛みにならないよう左右交代で噛みましょう。これを最低3分は続けて下さい。

②ガムを舌で丸める

ある程度柔らかくなったら、ガムを舌で転がし丸くまとめましょう。これは舌を上手く使う練習になります。

③ガムをスポットにつけて押しつぶします。

丸くなったガムを、舌をもちあげてスポットにむけて一気に押しつぶします。一発でできるようになりましょう。これは舌を持ち上げる筋力を鍛えます。舌が上手く持ち上がらないと、ガムがくっつかなかったり、上の前歯の裏についてしまいます。

④そのままツバを飲む。
舌を持ち上げた時にたまったツバをそのまま「ごっくん」しましょう。その際は必ず、姿勢を正して足を地面につけてアゴを引くように筋肉を使って飲みましょう。最初は中々飲めないと思いますが練習です。トレーナー矯正装置を使用している方は、これを練習する事でかなり楽に使えるようになります。

オーラルフレイルの予防に

近年、オーラルフレイルといって、加齢とともに「口から食べ物をこぼす」・「食べ物がうまく呑み込めない」・「滑舌が悪くなる」といった軽微な衰えから全身的な機能低下が進む事が東京大学高齢社会総合研究機構から示されています。日本歯科医師会もこのオーラルフレイルについて啓蒙活動を行っています。ガムトレーニングは、このオーラルフレイルの予防にも一役買ってくれそうです。

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