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前歯のギザギザの治し方

まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

前歯のギザギザが気になる

 矯正相談に来られる方で、前歯の先が「まっすぐ」ではなく「ギザギザ」になっている事を気にされている方は結構います。「以前、前歯をぶつけて、欠けたのかな?」と考えている方は多いのですが、原因は実は逆にです。

前歯はギザギザで生えてくる

 意外かもしれませんが、ヒトの前歯は生えてきたばかりの時は、全て先端の部分がギザギザになっています。大きく3つの山があり、見た目はモグラの手のような形をしています。かえでの葉の先のようにも見えるこの部分を歯科専門用語では「発育葉」と呼びます。

 このギザギザは上下の前歯が生えた後に、毎日使用して徐々に摩耗していきます。そして全ての歯が永久歯になる中学生ごろには、自然研磨されていき目立たなくなります。ですから、小学生のうちはそのままにしておいて特に問題はありません。

前歯のギザギザ
<前歯のギザギザが自然消失>

 ではなぜ、このようなギザギザ(発育葉)がついているかという理由ですが、前歯が生えている最中の子供の時は上下の歯がぶつかりませんので、食べ物を上手く噛み切る事ができません。そこでギザギザになっている事で、一時的に食べ物を噛みやすくする役割があったのではないかと考えられています。

大人になってもギザギザがある場合

 普通は子供の時にだんだん摩耗してなくなるこのギザギザ(発育葉)ですが、大人になっても残っているケースがあります。これは、前歯の歯並び・噛み合わせが悪く子供のころに自然摩耗できなかったことが原因になります。出っ歯(上顎前突)や開咬(オープンバイト)・受け口(反対咬合)などの不正咬合の場合は前歯で正しく食べ物を噛み切る事ができません。こういった歯並びの方は上の前歯の先端にギザギザが残っている傾向にあります。

 つまり、大人になっても前歯のギザギザが残っている方は、正しい噛み合わせではない可能性が高いという事になります。発育葉は矯正治療が必要なサインでもあるのです。

ギザギザの治し方

 矯正治療で歯並びを正しい位置に治しても、このギザギザが残っていると歯並びが悪く見える事があります。ですから最終段階で、患者さんに確認した後、人工的に平らになるように研磨することが多いです。他の歯の高さとバランスを合わせながらゆっくり研磨していきます。削るのは歯の先端ではなく、やや裏面を研磨していきます。ほんの少しの研磨でもかなり印象が変化します。

 研磨する部分は、神経血管からも離れているので、麻酔をする必要もなく簡単にできます。痛みもありません。当然、麻酔も必要ありません。左右で歯の摩耗の度合いが異なる事もあるので、ある程度歯並びが完成する治療の終盤で行います。

 特に2番目の歯が矮小歯といって小さい歯の場合は、4前歯のサイズが平均化してきれいに見えるようになるため、研磨を行うことを推奨しております。

ギザギザの研磨
<矯正治療の最終段階で前歯の研磨>

 小学生の場合は、まだ神経血管が旺盛であり研磨中にシミる事もあります。基本的には強い希望がない場合は、中学生以降でないと行いません。

※当院は歯の研磨のみでの受診はお引き受けしておりません。

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