こんにちは。まきの歯列矯正クリニック(千葉県)院長の牧野です。

 

矯正治療を行うメリットは「噛める」「見た目が良くなる」「長く歯が持つ」など多くあります。治療によって性格が明るくなり「人生が変わった!」という人までいるくらいです。ですから価値がある治療です

 

では、逆に「リスクはないのか?」と気になる所ですが、実はあります。私はこれを全て必ず診断時にお話しています。どんな治療にもリスクというのはつきものです。リスクが全くない治療は世の中にはありませんメリットがリスクの割合を上回るから、その治療に価値があるのです。

 

でも、このリスク、治療前に説明されていなかったらどうでしょう?起きてしまった後では、中々受け入れる事ができないのではないでしょうか。人は先に起きる事が知って言えば、例え希な事象でも、心の準備ができます。

 

 

歯の根っこが短くなる歯根吸収

頻度が高いリスクとしてあげられるのが歯根吸収です。これは骨に埋まっている歯の根っこの部分が、治療により吸収して溶けてしまう現象です。矯正治療は歯の動きとともに歯根も歯槽骨の中を動きます。歯根が動く側の骨が溶けて歯根が動き、反対側の骨が作られるという作業が繰り返されています。この時、歯根も少しダメージを受けているのです。

矯正歯科治療・治療後・歯根吸収・レントゲン

図:治療後にレントゲンで歯根吸収が判明したケース。歯根の先が斜状に少し短くなっています。

 

歯根吸収は、全ての治療患者さんに多かれ少なかれ必ず起きています。通常はレントゲン写真を見てもほとんどわからないレベルしか起きませんので気がつきません(放射線量の問題で行いませんが、毎回CT写真を撮影すればわかります)。レントゲン写真を見ても歯根吸収がわかるのは歯根が1/3ほど短くなった場合です。私の臨床経験上、割合としては3%程度と感じています。

 

発生しやすい場所としては上顎前歯が一番起こりやすいと報告されています。次が、下顎前歯と6齢臼歯になります。

 

吸収量については、「歯根の元々の形態」と、「治療による移動量」が関係していると考えています。まず、歯根が細長い場合は少しの吸収でも形が変わるので、レントゲン写真で分かりやすいという事があります。そして、圧下やトルクといった治療方針が歯根を骨の中で大きく歯を動かさなくてはならない場合も、それだけ吸収力がかかりやすいという事があります。まだ、明らかにはなっていませんが、研究では遺伝子も関係しているという報告もあります。

▶︎圧下・トルクとは?

 

では、歯根吸収が強く起きてしまった場合は、その後どうなるかというところですが、答えはすぐに問題にはならないです。そのまま、短くなり続ける事はなく、治療後に吸収が止まる事がほとんです。結局、歯根が短くなってしまっても、その後の口腔ケアを怠り歯周病になってしまい歯槽骨を早めに失ってしまうという事などがない限り、「歯の持ち」に関しては変わりません。

 

また、短根歯と呼ばれる歯根が元々、短いケースの場合は最初から歯根に負担がかかりづらい治療方針を選ぶ事になります。大学医院時代は歯根吸収についても研究していました。
▶︎当院短根歯の矯正治療例

▶︎短根歯の治療方針についての論文(原著:牧野正志)

 

当院では、治療開始から1年後程度にレントゲンを必ず撮影し、治療経過を確認しています。強い歯根吸収像がある場合は、治療方針を再検討する事もあります。

 

でも矯正治療はメリット>リスクです!

 

▶︎他の矯正治療のリスクについて