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【簡単】ガムを使った舌の筋機能訓練

【簡単】ガムを使った舌の筋機能訓練

 ガムは虫歯予防だけでなく、口の周りの筋機能訓練の効果もあります。ただし、矯正治療中は、装置に絡まるためガムを噛むことはできませんので注意してください。

チューイングガムの衰退

 私が学生のころは、勉強する時は常にチューイングガムを噛んでいましたが、最近ではガムを噛む人は大分減ってきているようです。一時期はキシリトールのガムがコンビニエンスストアなどで様々な種類が販売されていたのですが、年々販売量は減ってきています。一番の理由は、「ガムを噛み続けるのが面倒くさい」ということのようです。この話を聞くと、本当に現代では柔らかく食べやすいものが増え、「よく噛む」という動作が減ってきたのだなと思います。「口の中で溶ける」みたいなお菓子の方が好まれているようです。

チューイングガムの衰退

 実際、日本チューインガム協会によると、小売市場のピークは2004年の1,881億円で、2017年には1,005億円とピーク時から4割以上縮小しています。ゴミ処理の煩わしさも影響しています。

参照)身近なガム、国内市場は4割超も縮小していた「何となく買わなくなった」消費者も多い」

ガムを噛んでトレーニング

 嫌遠されがちなチューイングガムも、噛む事によるメリットもたくさんあります。まずは、キシリトールが含まれており、ある程度虫歯予防にもなります。キシリトールは虫歯菌であるミュータンス菌の活動を抑えてくれるだけでなく、唾液を増やし歯の再石灰化も促してくれます。特に高齢者の方で、「口が渇く」といった症状にも、ガムを噛むことで唾液腺が刺激され、口が潤うという作用も期待できます。

 さらにガムは噛み方を工夫する事で、いろいろな利点があります。せっかくなのでガムを「噛み方のトレーニング」のために利用してみてはいがでしょうか?今回は2つのトレーニングを説明します。

ガムを噛む事で口を閉じる

ガムを噛む事で口を閉じる

<口が開いていると音がする>

 口呼吸は歯並びだけでなく全身の健康まで悪影響を及ぼしています。今お子さんの半分以上は口呼吸です。ガムを噛む時はしっかりお口を閉じて鼻で呼吸しましょう。味がなくなるまでの5分でも鼻呼吸をする良い練習になります。「くちゃくちゃ」音が出る方は、口を閉じる筋肉が弱く、口呼吸になっていることが多いですこれはマナー的にだけでなく、呼吸的にもNGです。しっかり口を閉じてガム噛む事で口を閉じる筋肉も鍛える事ができます。

 特に食事中にも常に口が開いているお子さんの場合は、口腔筋機能発達不全症の疑いがあります。これは、生まれつきの障害がないにも関わらず、「食べる」、「話す」などのお口の機能が十分に発達していない状態を示します。2018年から新しく保険適用になった病名です。最近の研究で、10代の子どもの約2人に1人が、口腔機能発達不全症が疑われる症状を示していることがわかっています。

参照)協会けんぽ「小児における口腔機能発達不全」

片噛み予防

 ヒトは利き手の方が食事がしやすいです。これが行き過ぎると片咀嚼といって、顎の発達が左右で異なってきます。左右のバランスというのは健康に大切です。いつも噛んでいない方も噛むように意識しましょう。

 ある調査報告ではヒトの下あごは左に曲がっている事が多いようです。そうすると上下の歯の正中線がズレてきます。実際、ヒトは右利きが多いから、右のあごが強く発達し骨格の非対称につながるというのも原因の一つではないかと思っています。ガムは、自分の噛み方を確認する良い道具でもあります。是非チェックしてみて下さい。

参照)Hikosaka Y. Comparison of Mandibular Volume and Linear Measurements in Patients with Mandibular Asymmetry. Diagnostics (Basel). 2023 Apr 3;13(7):1331.

筋機能訓練も可能

筋機能訓練も可能

 歯並びが悪くなる原因には、歯の内外から圧力のバランスが崩れている事があげられます具体的には内からは舌を出そうとする圧力外からは口を閉じる圧力です。低位舌で前歯を押していたり、常に口が開いていて口呼吸の方は歯並びは悪い方向に向かっていると考えてください。このバランスをよくするトレーニングとして市販のガムを噛んでもらうガムトレーニングという練習がありますのでご紹介します。このトレーニングは毎日時間を決めて継続して行う事が大切です。キシリトールガムを噛めば、虫歯予防もできるため一石二鳥です。タブレットガムの場合は1回2粒くらいが良いサイズです。

まずは必ず口を閉じて5分以上噛む

 まずはガムが柔らかくなり味がなくなるまで、お口を閉じて噛み続けましょう。鼻呼吸をしながら噛む事が大切です。お口が開いていると「クチャクチャ」音がします。また、片側噛みにならないよう左右交代で噛みましょう。これを最低3分は続けて下さい。

ガムを舌で丸める

 ある程度柔らかくなったら、ガムを舌で転がし丸くまとめましょう。これは舌を上手く使う練習になります。

ガムをスポットにつけて押しつぶします。

 丸くなったガムを、舌をもちあげてスポットにむけて一気に押しつぶします。一発でできるようになりましょう。これは舌を持ち上げる筋力を鍛えます。舌が上手く持ち上がらないと、ガムがくっつかなかったり、上の前歯の裏についてしまいます。

舌の位置を動かさずそのまま唾を飲む。

舌の位置を動かさずそのまま唾を飲む。

 舌を持ち上げた時にたまったツバをそのまま「ごっくん」しましょう。その際は必ず、姿勢を正して足を地面につけてアゴを引くように筋肉を使って飲みましょう。最初は中々飲めないと思いますが練習です。トレーナー矯正装置を使用している方は、これを練習する事でかなり楽に使えるようになります。

オーラルフレイルの予防にガムを!

 近年、オーラルフレイルといって、加齢とともに「口から食べ物をこぼす」・「食べ物がうまく呑み込めない」・「滑舌が悪くなる」といった軽微な衰えから全身的な機能低下が進む事が東京大学高齢社会総合研究機構から示されています。日本歯科医師会もこのオーラルフレイルについて啓蒙活動を行っています。ガムトレーニングは、このオーラルフレイルの予防にも一役買ってくれそうです。

【情報】オーラルフレイル(日本歯科医師会)

 【記事執筆者の略歴】
牧野 正志
徳島大学歯学部卒業 (2006)
東京歯科大学 歯科矯正学講座 研修課程修了 (2010)
まきの歯列矯正クリニック開設 (2012)
日本矯正歯科学会 認定医・臨床医

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