矯正治療の【失敗】とは?
矯正歯科治療の失敗理由は、他の医療と同様にインフォームドコンセントの失敗が多いようです。
矯正治療が終了した時の患者さんの笑顔を見るのは、私たち医院サイドとしてはとてもやりがいになります。終了写真を撮影して治療前と比較していただくと、2年程度の矯正生活が頭を流れ感きわまる方も。「笑顔で矯正治療を卒業」と理想的な終わり方です。そして、全ての矯正治療を受ける方が皆このようにゴールを迎えると思いたいです。
ですが、上手く望むようなゴールにたどり着けないという事があります。これを「失敗」と呼ぶ事もあります。
矯正歯科治療の失敗の分類
さて、失敗とはどんな状態なのでしょうか。本当は治らないのに無理な治療計画を立てて治療を開始しまうという担当医の技術的な問題と、患者さんの治療への協力性の問題を除くと、「そもそも治療の失敗とは誰が決めるのか」で3つの状態に分かれます。
患者さんが、自分が想像した治り方と異なる
矯正治療を受ける場合、普通は初診カウンセリング時によく問診を行い、診断時にそれに対する治療計画をしっかり確認しているはずです。実は多くの失敗はここで起こります。患者さんも本当に言いたい事が話せていない事もあったり、担当医も専門的な内容を噛み砕いて話には時間が足りなかったりします。そのまま患者さん側と担当医側が異なったゴールをイメージして治療をスタートしてしまいます。
普通は、その後通院の度に気になるところなど相談しながら治療は進めていくのですが、患者さんの通院状態が良くなかったり、マウスピース矯正装置など通院間隔が開けられる場合は、治療の終盤まで上手くコミュニケーションが取れていなく、イメージがズレたままという事もあるのです。
審美的なイメージの違いは「もっと前歯が下がると思った」というのが多いです。最近は、デジタルシュミレーションソフトがあって、歯並びの仕上がりや、口元の変化の予測を確認できるのですが、完全に予測する事はできないのです。また、人によってバランスというのは好みがありますので、それを推測するのは難しいと言えます。
機能的なイメージの違いは「噛めるようになった気がしない」という意見です。この大きな理由は、患者さんの感覚の問題が入って来ているからと言えます。。明らかに噛んでいない状態は別として、治療後に噛む感覚が戻ってくるまで2か月くらいはかかると言われています。また、噛み合わせというのは毎日少しづつ変化しています。
担当医が仕上がりに満足できない
一見、患者さんは何も感じていないので、問題はなさそうですが、治療期間が延びるという問題が生じます。患者さんは、見える前歯の審美的部分しか気にしていない事も意外と多いです。ですが担当医は安定性を考え噛み合わせを中心に見ている事があります。矯正医は治療の上手さを噛み合わせの仕上がりでみている事が多く、患者さんは治療の上手さを治療期間の短さでみている事が多いため、ここにギャップが生まれます。
患者さんにとっては「時間」というのは大切です。希望しないのに、担当医が細部までこだわる事で治療期間が予想より延長する事で、患者さんは失敗と捉える場合もあります。
第三者から指摘
これは他の歯科医院で言われるというパターンが多いです。例えば、虫歯の治療にはじめて行く歯科医院の先生は、矯正治療をする前の状態もどのように経過をたどって今があるかも知りません。今現状を見て、今まで患者さんが気になっていなかった事を指摘し、それにより急に、以前の矯正治療の仕上がりが気になって来たという事もあります。
それ以外にも矯正治療には「歯根吸収」「歯髄壊死」「歯肉退縮」などのリスクが一定の割合で発生します。多くの矯正歯科医院では治療前に説明をしているのですが、忘れた頃に指摘される事で、治療の失敗と患者さんが捉える場合もあるようです。
インフォームドコンセントが大切
矯正歯科治療で毎回どのような歯の動きが起きる処置をしているかを確認するのは難しいと言えます。その分、患者さんはどんな治療が行われているかはわかりません。ですから、治療計画・経過・結果がしっかり見えるように説明する義務がより求められる治療と言えます。
人は、物事を理解するのに何日もかかる事はあります。30分の診療時間では足りないという事多くあるという事です。つまり失敗ケースは、歯科医師の説明不足が原因になっているという事になってしまうのです。