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パワーチェーンのトリセツ

まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

パワーチェーンという歯を引っ張る網状のゴム」についての説明です。

パワーチェーンとは

 歯を並べるためには、歯を並べるスペースを作らなければなりません。ですから、矯正治療中には一時的に様々な場所にスペースが空いた状態になります。その後、歯列が並んだ後は、必ず歯と歯の隙間を閉じるという作業が必要になります。この際に使用する材料として一般的なものが「パワーチェーン」(エラスティックチェーン)になります。

パワーチェーン
<デンツプライ三金社のパワーチェーン(商品名:プロチェーン)>

 このチェーンは主にブラケット装置やフックに引っ掛けて、歯と歯の隙間を閉じる目的で使用します。「チェーン」という名前の通り網状になっていて、引っ張るとこの輪っかが潰れ、元の形に戻ろうとする力が発生します。「パワー」という名前がついているので強そうですが、実際は100g前後の弱い力なので安心してください。

 パワーチェーンは2週間ほどで劣化し、牽引力が弱まってきます。実はこれも計算のうちです。歯も休み休み動かした方が良いので、時間が経つとわざと効果がなくなる仕組みになっています。牽引力が強い最初の間に歯冠という頭の部分が動き、牽引力が弱まったところで歯根という歯茎の中の部分が動くからです。

 装着中のトラブルとしては、ゴム製なのでカレー類など香辛料が多い料理を食べると黄色く変色してしまいます。もし色が気になる方は、チェーンをかえたばかりは色の濃い食べ物は控えましょう。
食事中にはパワーチェーンが、かかっているフックから外れたり、切れたりしてしまう事もあります。これが来院した直後の場合は交換に来てもらいますが、しばらく経っていて次の来院が近い場合は、牽引力も弱くなっており、痛みなどが発生するわけではありませんのでそのままでも良いです。

 食事後は食片が挟まったり、パワーチェーンの下の矯正装置に歯垢がつきます。歯磨きの際に邪魔な場合は、パワーチェーン少し指で動かして歯の掃除をしましょう。

 通常は、毎回来院ごとに強さを計算した新しいパワーチェーンに交換します。強さには5種類くらいあり、その時々で歯の動きをみて歯科医師が選択しています。パワーチェーンは矯正治療で一番、多用される材料です。隙間を閉じる材料としては、他にはコイルスプリングというバネを入れる場合もあります。

<パワーチェーンをかけている様子>

 パワーチェーンは玉数で、強さが変わります。ですから、「右が5玉、左は4玉でかけて〜!」と指示をしている事も多いです。小学生の患者さんに、なんか、「ラーメン屋みたい」と言われました(笑)

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