筋機能訓練(MFT)

<口と舌のトレーニングについての動画>

当院で説明にも使用している動画です。この動画を見るだけでもお家で簡単にMFTができます。

矯正治療をせずMFTのみをご希望の方は、申し訳有りませんが、当院ではお引き受けしておりません。

筋機能訓練の目的

口腔筋機能訓練(Mio Fuctional Therapy)とは、口のまわりの筋肉などを正しく動かしてあげる事で、健康の維持につなげるトレーニングです。特に歯並びが崩れている方は、口のまわりの筋肉のバランスも崩れている事が多く、このMFTトレーニングが必要になります。当院では主に「舌の位置」「鼻呼吸」「食事の姿勢」について指導させていただいております。

<MFTトレーニングの矯正治療への効果>
1.歯並びが悪くなるのを予防する。
2.矯正治療を円滑に進め、治療期間を短くする。
3.矯正治療後の後戻りを防ぐ。

MFTは基本的に当院で矯正治療の契約をされている方に行います。追加で費用に含まれています。お子さんを中心に必要な方へ歯科衛生士が説明いたします。

舌の先はスポットにおく

自分で確認してみましょう。今、舌の先はどこにあるでしょうか?

舌の位置

①上アゴに触れている
②上の前歯に触れている
③下の前歯に触れている

正しい舌先の位置は①の上あごです。
②③は間違った位置になります

②、③のように舌が上に持ち上がらない状態を低位舌と呼びます。低位舌になっている方の舌の形には3つの特徴があります。

低位舌の種類
<低位舌の種類>

A.舌の筋力が足りていなくて肥満になっている状態
B.舌の筋力が強くて歯の形がつく状態
C.舌小帯というヒモが短く引っ張られて上に持ち上がらない状態

重度の低位舌はそのままにしておくと歯並びに影響する事があります。すきっ歯・出っ歯・開咬などの悪い歯並びは、低位舌が原因の一つと言われています。

低位舌の歯列への影響
<低位舌の歯列への影響>

それ以外にも低位舌は悪い影響を及ぼします。
自然と口が開きやすくなり、口呼吸になりやすいです。飲食では、ノドの筋肉があまり使われないため飲み込みが苦手になります。発音では、舌がを持ち上げる「サ」「タ」行の発音も悪くなります。

ですから、矯正治療で歯並びを治すのと併用で正しい舌の位置を覚えていきましょう。普段からスポットといって上アゴの粘膜のヒダがあるところに舌の先をおくようにしてもらいます。常に意識をしてスポットに舌を置く事で、無意識でもスポットにおけるようにトレーニングしましょう。

舌を置くスポットの位置
<舌を置くスポットの位置>

口を閉じて常に鼻呼吸で

続いて低位舌とセットで生じる口呼吸について説明します。口呼吸とは鼻で呼吸をせず、日常的に口が開いており、主に口で呼吸をしている状態の事です。

<鼻呼吸と口呼吸の違い>

実は、舌が上に持ち上がらないと、口呼吸になりやすくなるのです。低位舌の状態だと口は開きやすいのです。試しに、鼻で息を吸ってみて下さい。自然と舌が上に持ち上がったのがわかると思います。低位舌の方は、口は閉じているように見えても、うっすら開いており口からも息を吸っています。

口呼吸の悪影響
<口呼吸の悪影響>

慢性的な口呼吸になってしまうと、顔面の筋力のバランスが崩れ、歯並びが崩れやすくなります。それだけではなく、口呼吸は万病のもととも言われており、これを防ぐだけでも様々な疾患を防ぐ事ができるとも報告されています。生まれた時人間は皆、鼻呼吸です。それが、様々な理由で口呼吸になってしまうのです。哺乳類の中で口呼吸ができるのは人間だけです。

口と違って、鼻には高密度のフィルターがついていると思って下さい。口を閉じるだけで天然のマスクができ、感染予防ができます。口呼吸を改善するには、日中の鼻呼吸の意識づけが大切です。就寝時に口が常に空いている方やいびきが強い方は、サージカルテープで上下の唇を止める事も有効です。(呼吸器疾患がある方にはお勧めしません。)

<テーピングにより口呼吸を止める>

また、低位舌・口呼吸の改善につながるお口の体操としては当院では「あいうべ体操」を推奨しています。 「あ・い・う・べ」とゆっくり少しオーバーに唇と舌を動かして発音します。小分けしても良いので1日30回を行なっていきます。2,3か月すると低位舌も改善傾向に向かい、口のまわりの環境も変化してきます。是非継続して行なってみて下さい。

食事の姿勢から気をつけていきましょう

低位舌・口呼吸と相互関係にある事として、日常の姿勢というのがあります。低位舌・口呼吸の方は、姿勢も悪い傾向にあります。特に歯科医院では、お口に関係する食事の際の姿勢を気をつけていただくように指導させていただいております。

<悪い姿勢・良い姿勢>

食事の際の正しい姿勢は、少しアゴを後ろに引き、椅子の背もたれにつけず背筋を伸ばし、地面に足をしっかりつけることです。正しい姿勢により、正常なそしゃくや消化活動が行われ、顎の成長や健康をもたらします。

中でもアゴを後ろに引くことは飲み物をしっかり飲むためにも大事な事です。正しい飲み込み方を習得する事は将来の誤嚥性肺炎などの感染予防にもつながります。

<のどの筋肉を使った正しい飲み込み方>

MFTトレーニングでは、以上の内容を保護者の方とお子さんに説明し、お家で練習していただきます。大切なのは、舌の位置」「鼻呼吸」「食事の姿勢」です。