itero element

 当院は2015年頃より徐々にマウスピース型矯正装置を使用する患者数が増加してきました。これに伴い、患者さんのPVS印象(シリコン素材による歯の型取り)の不快感の軽減や、アライナーの発注から納期までの期間を短縮するため、口腔内スキャナーを導入いたしました。

 昨今はデジタル技術の進歩により、IOS(Intra oral Scaner)と呼ばれる様々な歯科用のスキャナーが発売されています。患者さんの歯列の3Dスキャンデータを元にして正確な歯科技工物を作成する技術になります。矯正歯科で同じように3Dデータを利用して、矯正装置を作成するのがトレンドになりつつあります。そこでデジタル矯正の最前線にあるマウスピース型矯正装置作成の使用に向いているiTero element(※)を選択しました。

※口腔内スキャナー(薬機法承認番号22900BZX00222000)


 オーラルスキャナーで撮影した歯列は、STLという立体データで保存と共有が可能です。このデータは3Dプリンターを介し樹脂模型として出力することができるため、これを使用して様々な矯正装置やリテーナーの作成を行うことが可能です。

 現在、口腔内スキャナーは、矯正装置の作成以外にも小児を中心に嘔吐反射が強い方の精密検査に使用させていただいております。

iTero・アイテロ

口腔内スキャナーによるマウスピース型矯正治療

1.正確に歯列のデータを採取できる。

 従来のPVSというシリコン素材による歯型を利用してアライナー装置を発注する場合は、空輸して海外で開封して歯型を3Dスキャンを行いデジタルデータに起こします。つまり、二度手間になります。もちろん、その過程で、様々な人の手が入りますから、模型精度も低下してしまいます。マウスピース型矯正装置の大事な点はその製品の精度になり、いかに歯列に正確にフィットするマウスピースが作れるかが治療結果に影響します。患者さんから直接スキャンデータを取れる点で口腔内スキャナーは有利と言えます。

2.患者さんが快適

 前世代の機種に比べ20倍の画像を読み込む事ができるため、スキャン時間も長くて5分程度とかなり速く、患者さんの苦痛がかなり少なくなります。口の中にまとわりつく歯型の材料を使用しないため口も汚れませんし、もちろん「オエっ」となる嘔吐反射も起きずらく快適になります。そして、カメラヘッドのカバーを患者さんごとに、新しいものに交換しますので清潔です。

3.矯正装置の納品が早くなる

 歯型を国際郵便でマウスピース製造工場に送る期間を2週間ほど節約できます。ですから、マウスピース型矯正治療の検査後に治療を素早く開始する事ができます。また、治療途中の追加マウスピースの発注のためのウェイティング期間も減らす事ができるため、結果的には治療期間自体も短くなります。マウスピースが届くまでの期間は患者さん側も医療者側もストレスです。

4.計画と進行度合いの比較が可能

 治療結果を事前シミュレーション(治療前予測)と容易に比較する事ができ、治療の進行状況を確認することができます。また、単独でシュミレーターも内臓しているために、簡易的な治療後の予測歯列データもすぐに作成する事ができます。治療前に患者さんにゴールをイメージしていただくことが可能事となります。