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顎関節症がある方の矯正治療にはマウスピース型矯正装置

■まきの歯列矯正クリニック 院長 牧野正志

顎関節症の対症療法

顎関節症患者さんの方には開咬症状が多く、マウスピース型矯正装置【インビザライン】が矯正治療に向いています。


インビザライン治療を希望されている20代女性の方で顎関節症状も発症している患者さんは結構います。顎関節症とは、①関節に音が鳴る・②口の開閉時に痛みが出る・③口が少ししか開かない、といった症状が1つ以上ある状態を言います。思い当たる節はないでしょうか。

顎関節とは

顎関節は両耳の下あたりにあり、人間の体の中で唯一、左右2つの関節を同時に動かす事ができる場所です。ですから、左右どちらか片方に症状が出るだけで日常生活に問題が生じてきます。それは、「食べる」「話す」「呼吸する」等、人間の生命維持の全てに顎関節は関わってくるからです。

顎関節の構造
<顎関節の構造>

顎関節症の原因は

顎関節の構造は、下顎骨の関節突起と頭蓋骨のくぼみの間に関節円板という柔らかいクッションがあり、ある程度自由な動きができたり、関節にかかる力を緩衝しています。顎関節症を発症している方の70%に、この座布団みたいな関節円盤の位置にズレが見られます。この状態で関節を動かしたり、噛みしめたりすると、ダイレクトに関節突起に力がかかり、痛みが出始めます。この状態が繰り返されると徐々に関節突起の変形が生じてくるのです。

III型顎関節症の状態図
<III型顎関節症の状態図>

顎関節症は、特別な病気によるものを除くと、精神的ストレスによる自律神経の失調や日常生活の姿勢などの影響が多い女性がなりやすい事がわかっています。また、歯並びに関しては、前歯の噛み合わせが悪い患者さんに起こりやすいとも報告されています。

前歯の噛み合わせは、どちらかと言えば、ものを噛むというよりは、顎の運動をガイドするする役割があります。人間には、必ず自分の体が壊れないように運動を制御する機構があります。ですから、前歯が噛んでいない開咬などは、特に顎の運動にガイドがないため、かなり顎関節に負担がかかっている言えます。実際、開咬の患者さんの多くは、顎関節に何かしらの症状を抱えている事が多い事も事実です。

<開咬症状は顎関節に負担がかかりやすい>

顎関節症の治療方法はマウスピース

この顎関節症の一般的な歯科医院での治療方法としては、関節円盤がズレた状態で噛み込まないように、夜間ナイトガードマウスピースを処方します。マウスピースを入れる事で、多少奥歯の噛み合わせが高くなり、関節突起への刺激を減らす事ができます。

ただし、これは対症治療のため、根本的には改善はしません。外的なストレスには波があり、その刺激により顎関節は変形と適応を繰り返します。そして顎関節症の症状も、改善と発症を繰り返すのです。結局、顎関節症は様々な要因が絡み合っているため、根本的な治療方法はなく、原因を除去するしかないとも言えます。

開咬の方はマウスピース型矯正

前歯が噛んでいない「開咬」の歯並びの治療希望で、ナイトガードをいれ顎関節症の症状を軽減したい方は、両方ができるマウスピース矯正装置【インビザライン・薬機法適応外 】をお勧めしています。

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