こんにちは。まきの歯列矯正クリニック【千葉県】院長の牧野です。

 

先日、5年に一度行われる歯科疾患実態調査のH28の実施された最新結果が、最近厚生労働省より報告されました。今回は、12〜20歳の男女を対象とした歯列咬合の項目についてお話していこうと思います。

 

H28年歯科疾患実態調査の概要−厚生労働省

 

代表的な不正咬合である叢生については、意外にも前回(H23)の43.8%から26.4%と大きく減少しました。ちなみに叢生とは隣接歯と歯が1/4以上重なりあっている状態のです。それに対して上顎前突は34.0%から40.1%と増加しました。上顎前突とはオーバージェットと呼ばれる上下の前歯の前後差が4mm以上のケースになります。

 

 

「5年間でこんに変わるのか?」と思われるかもしれませんが、調査数が106名と少ない事と、同じ地域で行なった訳でははないため、過去データとは単純比較はできないと言えます。ですが、イメージとしては他の不正咬合は大きな変化がない事から、叢生が減ってきて、上顎前突が増えたきた感じです。

 

この背景としては一概には言えないのですが、最近増加している小学生時代の小児矯正治療が影響を及ぼしているのではないかと、私は推測しています。

 

子供の叢生の治し方

小児矯正でのスペース不足の治し方の多くは、「拡大」とよばれる歯列の前方側方への傾斜移動です。よく「アゴを広げる矯正装置」と言われ、取り外しの床矯正や固定式の裏側ワイヤー装置を装着しているのがこれに当てはまります。

 

ただし、この拡大治療で広がっているのは「アゴ」ではなく「歯列とそのまわりの歯茎」というのが多くの作用です。骨格を変える力はほとんどなく、拡大にはそれぞれのケースよって限界というものがあります。それを通り越すと、歯茎が下がり歯根部が露出したりする事や、上下の噛み合わせが悪くなり噛めなくなってきます。

 

また、一般的には拡大治療を行なっていくと、だんだん上下の前歯の噛み合わせが離れて行き、少し上顎前突(出っ歯)傾向になって行きます。この理由は、拡大は歯列が側方だけでなく前方にも広がっていくため前歯が出てしまう事と、奥歯が強くぶつかっていくため前歯の噛み合わせが浅くなっていく事が理由としてあげられます。

 

 

子供の拡大治療による叢生の改善は、決して意味がないという訳ではありません。通常は2段階治療と呼び、その後に全体にワイヤー装置を装着して仕上げの本格矯正を行う前提で行なっていくのが一般的です。しかし、実際は、子供のモチベーション低下や追加費用の問題で、2段階目に進まず小児矯正だけで終了してしまうケースが多いようです。こうしてやや前歯の歯並びは良いけどやや出っ歯ぎみの歯並びが増えているのではないかと考えています。

 

叢生が減って上顎前突が増えている原因の背景には、早期から叢生の改善を行う小児矯正の影響があるのかもしれません。

 

当院では小児矯正も適応・非適応ケースがあると患者さんには説明しております。相談の結果、小児矯正を推奨しない事もあります。

 

⇨子供の2段階矯正についてはこちら